海洋深層水

 今日泊まったホテルのバスには、「海洋深層水」の入浴剤が置いてありました。場所は、富山です。なぜここにあるかというと、富山湾は、広さが約2,120平方キロメートル、最深部が1,000m以上あり、駿河湾や相模湾と並んで我が国で最も深い湾の一つですであり、深層水を育んでいるのです。最近、海洋深層水がさまざまなところで話題になっており、化粧品や飲み物などいろいろな商品の材料にも使われています。それは、海の底を、はるかな年月をかけて循環してきた深海水には、健康に役立つさまざまなパワーがあると、言われているからです。しかし、この「階層深層水」とは、いったい何なのでしょう。簡単に言うと、深層水とは、大陸棚より沖合で太陽光が届かない水深にある海水のことで、現時点で確立された定義はなく、一般的に「水深200m以深の海水」という意味で使用されているようです。そうすると、実は、地球上の水のほとんどである93%が深層水なのです。ですから、よく「母なる水」というのは、海洋深層水のコトをさしていることなのです。「深海」は、光の届かない(無光層)大陸棚外縁より沖合で、植物が光合成することもほとんどできない、ごくわずかな太陽光線しか届かないところです。この水は、北極グリーンランド周辺で、塩分濃度差によって生じる「プルーム」と呼ばれる垂直に沈む海流が始まり、そこから、水深2,000m以上、深いところでは4,000mの深海にもぐりこむ海流となります。その水は、なんと約2000年間、一度も大気と接することなく深海を循環し続け、北太平洋にまでたどり着くのです。それが、ここ富山湾や高知県室戸市沖あたりで上昇して、わき上がってくるのです。富山湾は、大きく分けて三つの層で構成されており、海岸に近いところには河川などの影響を受けた塩分濃度の低い「沿岸表層水」、その下層から200~300メートル付近には「対馬暖流系水」、そして300メートル以深には低温の「日本海固有水」が無尽蔵に存在し、この日本海固有水が「深層水」と呼ばれ、富山湾の容積の約6割を占めています。アサヒビールは、富山湾の深層水を使った発泡酒「アサヒ本生」を発売しました。しかし、以前、高知県はアサヒビールに開発のためのデータなどをあげたりしたので、高知県の橋本大二郎知事が、アサヒビールに対し、「商品開発に協力したのに、富山の水で製造するのは問題」とおこったそうです。深層水は、富山、高知以外にも沖縄、静岡でも取水されており、これから石川や北海道でも取水する計画があるそうですが、どうして、そんなにも必死になるのでしょうか。それは、海洋深層水には、必須微量元素や、さまざまなミネラル成分がバランス良く約60種類含まれているからです。特に摂取しにくいマグネシウムは、深層水コップ2杯程度で、1日の分が補えてしまうほどです。そこで、健康飲料や食品、医薬品などの分野でも注目されています。例えば、化粧品や食品です。化粧水に深層水を入れると、ミネラルが豊富になり、肌にいいとして、全国的なヒット商品も生まれています。ジュースやお酒などの飲み物や、とうふ、かまぽこ、つけ物、パンなど、深層水入りの商品がどんどん開発されています。また、2000年もの間、海の奥底を循環し、表層の海水と混じり合うことがないため、キレイな水を保っています。表層の海水と違い、産業廃水や生活廃水、大気からの化学物質による汚染がほとんどありませんし、陸水から来る大腸菌や一般細菌にも、ほとんど汚染されていません。また、光が届かないので、光合成も行われず、海洋性細菌そのものの数も表層に比べて非常に少ないそうです。まだまだ解明はされていないようですが、やはり、自然の中には、さまざまな力があるのですね。

海洋深層水” への3件のコメント

  1. 約2000年間深海を循環し続けた水といわれてもなかなかピンときません。自然の力は想像を超えたすごさがあります。2000年。すさまじく長い年月です。海洋深層水はすごい水ですね。
    「体にいいということが紹介されると、それにたくさんの人が飛びつく」という構図はあまり好きではありませんが、自然が生み出す力と上手につきあっていきたいと思っています。

  2. 藤森先生お疲れ様でした。折角のいいお話なのに、聴衆も少なく、よい聞き手とはいえなかつたのではと聴衆側にいて、先生に申し訳ないなという思いを感じながらおりました。いつお聞きしても、私はしっかり頷け、納得して心にとどきますので、快い時間をすごさせていただきました。自然の中にさまざまな力がありますねということ、本当ですね。茂木健一郎の脳の中の人生を読んでいました。「・・・ニュートンが見ていた美しい風景が、脳の中で錬金術のように変化して、天才的な数学的発明につながるというのは、いかにもありそうなことである。また、ザルツブルグの光景を抜きにして、モウツァルトの音楽はありえなかった。風土が人間の脳の働きに与える影響は、近代合理主義者考えるよりも、案外おおきいのではないか・・・・日本人がより創造的になるように、日本の景観を今よりもっと美しくしようではないか」とかかれていました。脳科学の世界、本当にすすんできましたね。いのち、心、意識、無意識、先生のお話ではありませんが、教育の諸問題もこの脳科学の世界からときあかされていくようです。先生のおはなしや、ブログをよんでいますと、いつもこの命という原点から論じていらっしゃる感じをうけとめ、いつも仏教的な思想に重ねられます。ところで、先生、少し丸くなられたような気がしました。体調はよろしいのでしょうか。どうぞ、旅先の美食には気をつけてください。 

  3. 私のPCデスク前に大きな日本地図があります。今日のブログで示唆された「海洋深層水」取得可能な水深を持つ沿岸海域は確かに、富山湾、相模湾、駿河湾、そして高知県の沖合です。私が住むところも沿岸です。当町の町長さんが選挙の公約で「海洋深層水の活用」を掲げました。当選してもう2期6年目になりますが、いまだに実現されません。上記の日本地図をみて私が住む沿岸海域を見ると、とても海洋深層水を取得できるような条件が揃っていません。実現できないのも無理ないな、と合点がいきました。
    プルームのことも紹介されました。このプルームが消滅しかかっているというニュースが去年くらいから囁かれています。北大西洋・北海でのできごとです。真偽の程は確かめておりませんが、真実だとすると・・・。折角の夢のある「海洋深層水」なのに、と思ってしまいます。

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