鉛筆

 昨日のブログでは、石盤に石筆で字を書きながら勉強をしたということを書きましたが、「二宮翁逸話」を読むと、貧しい金次郎がどうやって手習いしたのかが書いてあります。金次郎は、「手習は酒匂川のごく細かい砂を盆に入れて平らにし杉の箸で、祖父が書いてくれた手本を一生懸命に習った。」ようです。この、箸で書くということは、鉛筆で書くということに関係があります。なぜかというと、正しい箸の持ち方を分解してみると、手前の1本(固定箸)をそのまま引き抜いて残った動箸は、鉛筆を持ったときと全く同じ形なのです。ですから、鉛筆とお箸の持ち方は一心同体なのです。逆を言えば、鉛筆を持つときに、手に持っている鉛筆が動箸になり、そこに1本差し入れると、箸の持ち方になります。ですから、鉛筆を持つよりも、箸を持つほうがよほど高度であるのに、どうも、箸の持ち方は早く教えて、鉛筆のほうが遅く持たせることが多いようです。また、鉛筆を持つときに、1本だけの指先に力がかからないのがよい持ち方といわれています。爪の色が白くなるのは指先に血が廻ってない証拠です。どの指先にも血が通うような持ち方が頭のよくなる持ち方になります。正しい持ち方は、「しつけ」として教えるとか、そう持つことで字がきれいに書けるというだけでなく、脳がよく働くのです。勉強すると、頭がよくなるというのは、鉛筆を持つために頭がよくなるのかもしれませんね。ですから、鉛筆で絵を描いても、頭がよくなるのかもしれません。
1560年代、イギリスのボロウデール鉱山で良質の黒鉛が発見され、その黒くなめらかな性質が注目されて、細かく切ったり、握りの部分をヒモで巻いたりして筆記具として使われるようになったのが、世界最初の鉛筆だといわれています。鉛筆は「Pencil」といいます。これは、英語を習い始めた中学1年生で、初めて長いスペルを覚えた単語として覚えています。この語の由来はラテン語で「筆」又は「書くための小さい尻尾」という意味のペニキラス(penicillus)か、あるいは元々の原料であった鉛(plumbum;プルンブム)のどちらかに由来すると考えられています。中学で最初に習う「Pen」が、頭についていますが、ペンとは語源は関係ないといわれています。日本では明治初期には木筆などと呼ばれましたが、のちにプルンブム由来説をとって、鉛の筆ということで、鉛筆と呼ばれるようになりました。徳川家康の遺品として1本の鉛筆があったり、伊達政宗も鉛筆を使っていたと考えられますが、日本で本格的に鉛筆が使われるようになったのは明治維新後のことです。
 今は、鉛筆は、世界の合作です。たとえば三菱鉛筆の芯の黒鉛は中国・ブラジル・スリランカから、粘土はドイツ・イギリスから、軸木にはアメリカの木が使われています。日本では、9Hから6Bまでの17種類ありますが、このH、B、Fといった記号は、芯の濃さと硬さを表すものであることはみんな知っていますが、HはHARD(ハード:硬い)、BはBLACK(ブラック:黒い)の略字、FはFIRM(ファーム:しっかりした)という意味で、HとHBの中間の濃さと硬さを持った芯のことであることはあまり知られていません。形は、握った場合、必ず3点(親指、人差し指、中指)で押さえるので3の倍数である必要があり、多くは6角形です。色鉛筆では、文字を書くだけでなく、絵を描くために使ったり色々な持ち方をして使いますので、指あたりのよい丸軸になっています。そろそろ、期待を胸に、ランドセルや学習机といっしょに、鉛筆を準備する年長児を見かけるようになります。