ビッグバンとゆらぎ

 昨日は、月の話でしたが、今日は、もっと遠くの話をします。今月3日、 2006 年のノーベル物理学賞が、宇宙のあらゆる方向から届くマイクロ波の宇宙背景放射を人工衛星で詳細に観測した米カリフォルニア大のジョージ・スムート教授と、米航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターのジョン・マザー博士の2氏に授与されました。文学賞や平和賞に比べて、年々、物理学や化学など科学分野は、より専門的になっているために、私たちでは、どんなことかよくわかりませんが、簡単に言うと、宇宙背景放射とは、宇宙誕生の大爆発ビッグバンから約38万年後に放出された光の名残りだというのです。したがって、「ビッグバンの化石」と呼ばれ、誕生38万年後の宇宙の姿をとどめているとされているのです。この、「ビッグバン」ということを聞いたときのショックは、いまだ忘れません。今までよくわからなかった「宇宙」というものが、もっとわからなくなったという感覚でした。私たちの銀河系の直径は、およそ10万光年で、地球と太陽との距離の、ざっと30億倍という長さです。宇宙には、このような銀河が、少なくとも数千億という単位で存在しています。これらの銀河を地球から観測した結果、遠い銀河ほど速いスピードで遠ざかっていることが確かめられました。つまり「宇宙が膨張している」ということです。宇宙が現在も大きくなり続けているということは、最初の始まりは、ごく小さな一点ということです。その宇宙誕生の瞬間が、「ビッグバン」という大爆発だったといわれ、時間と空間が誕生したとされています。そして、爆発後100分の1秒後に光の海が出来、3分46秒後に原子核の結合が行われ、30万年後に宇宙が晴れ上がり、100万年?10億年後に原始宇宙が誕生し、50億年後くらいに星が誕生し始め、100億年後に太陽系が誕生したといわれています。気が遠くなりますね。つまり最初は非常に高温かつ高密度の状態で、星も生命も存在しない素粒子が飛び交う状態であったのが、膨張とともに温度が冷え密度も下がり、現在、私たちが目にする様々な物質や天体が形成されてきたのです。このようなビッグバン理論を、宇宙全体から届くマイクロ波(宇宙背景放射)を観測し、裏付けたことなどが評価されての授賞です。また、放射が全天から均一に来るのではなく、10万分の1レベルの温度の違い(ゆらぎ)があることを発見しています。このゆらぎが基になって、現在の銀河や星の分布が生まれたと考えられています。
 この「ゆらぎ」は、物理学だけでなく、音楽でよく使われる言葉です。自然界には様々な音がありますが、これを分析すると、ピアノの鍵盤をでたらめに叩いているような音を「1/f0ゆらぎ」といいます。また、一定の間隔で鍵盤を叩いているような状態を「1/f2ゆらぎ」といいます。そして、ランダムでも単調でもないパターンを「1/fゆらぎ(エフ分の1ゆらぎ)」といいます。このゆらぎが、ろうそくの炎、そよ風、小川のせせらぎなどの様々な自然現象の中でも発見されました。また、人の心拍の間隔なども「1/fゆらぎ」になっていることが発見されています。この「1/fゆらぎ」が人に快適感を与えると考えられています。それが、昔ながらの手作りのものにはあり、きれいに整っていない分、暖かさがあるのです。ストレスの多い現代社会に安らぎを与えることができるのです。保育の世界にも、この「ゆらぎ」が使われることが最近あります。今後、青少年期に若者たちが迎えるさまざまな危機にゆらぎながら歩を進めていく現代の若者「ゆらぎ人間」の心理を考えていかなければならないでしょう。