秋の川原

 秋は、散歩をするのには、最適の季節です。風はさわやかで、日差しはさして強くなく、紫外線の量は少なく、空は、澄んでいます。しかし、春に比べて、花は地味なものが多く、これから厳しい冬が来ることを予感させるものがあります。私の自宅のそばには、多摩川の支流である浅川が流れています。ですから、散歩に出かけるときは、どこに行くにしても、まず、浅川の土手を歩きます。その土手は、今は護岸工事で、その前の自然の草花と違う植生になってしまっていますが、一時期のような、コンクリートのテトラブロックで覆いつくすような工事ではなく、コンクリートのブロックを土で埋め、そこに草の種をまき、緑の帯を作ります。ですから、緑に覆われますが、地下は深くないので、根の深い植物は生えにくいでしょうし、土の中では行き来ができないので、地中の生き物はすみにくいでしょうね。それでも、秋は一面の黄色い花で埋め尽くされます。
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 今が盛りなのは、「キクイモ」という花です。この花の名前を初めて聞いたときには、なんだかイメージには合いませんでした。「キク」は分かりますが、「イモ」は、なんだろうと思いました。それは、この植物は、キク科ヒマワリ属の多年草で、地下に小さな芋ができるのでこの名前がついたのです。別名はアメリカいも、ぶたいもというように、原産地は北アメリカ北部から北東部で、日本には江戸時代末期に飼料用作物として伝来しました。栽培されているもの以外に、第二次世界大戦中に加工用や食用として栽培されたものが野生化したものもあり、雑草特有の,強靭な生命力で、土手などに群生している様は壮観です。茎や葉に小さな刺があり,また,粘液が付いているので手で触るとべとべとした感じがします。塊茎を食用や飼料にするほか、果糖の原料とされる。牛乳で煮たり、バター焼き、フライ、スープ、味噌漬けなどにして食べます。だから、「イモ」なのですね。
 また、秋の川原を一面に多いつくす、もうひとつの黄色い花として有名なのが、「セイタカアワダチソウ」(背高泡立草)という植物があります。これも、キク科の多年草ですが、やはり、北アメリカ原産で、帰化植物(外来種)です。川原では、ススキなどの在来種と競合します。種子だけでなく地下茎でも増え、しかも、根から周囲の植物の成長を抑制する化学物質を出します。(この物質はセイタカアワダチソウ自身の成長も抑制します。)このような圧倒的な強さを持って、川原を覆いつくしそうで、ちょっと、悪者のイメージがあります。しかも、一時は喘息など花粉アレルギーの元凶だと思われ、嫌われる植物のひとつになってしまっていますが、この花は、花粉をミツバチなどの昆虫によって媒介させる虫媒花であり、花粉を風に乗せてばらまく風媒花ではなく、また、花粉の飛散量は少なく、今は、花粉症の原因植物としては濡れ衣であったといわれています。また、最近は、あまり派手な繁殖が見られなくなり、それほど背の高くないものが多くなっています。アメリカのケンタッキー州では、州花となっています。もともとは観賞用に導入されたとか、蜜源植物として優秀であるので養蜂業者が積極的に種子を散布したとの話もあります。和名の由来は、同じ属のアキノキリンソウの別名であるアワダチソウよりも草丈が高いことによっています。いくら外来種といっても、今では、身近な植物となり、秋に咲く花として冬への導きを感じさせ、この花が終わると、季節は一気に花の少ない季節、冬へと進んでいきます。

秋の川原” への5件のコメント

  1. 以前、学習塾を経営していた時、秋の花粉症に苦しんでいる高校生君がおりました。なんでも「ぶたくさ」の花粉だというのです。「ぶたくさ」が何かわからなかったのですが、後で「セイダカアワダチソウ」のことだと知りました。しかし、今日のブログによれば、それも「濡れ衣」だったようですね。秋にも花は咲きますし、その花粉が飛散して前記の高校生君、花粉症に苦しめられていたのでしょう。今はどうしていることやら。
    それから今日のブログで気付いたのですが、北米原産の「キクイモ」も「セイダカアワダチソウ」、それぞれ「ぶたいも」とか「ぶたくさ」と呼ばれ「ぶた」の二文字が共通していることに興味を覚えました。この両草花はもともと豚のえさになっていて、それで「ぶた○○」なのでしょうか。それとも北米だから「ぶた」?よくわかりません。またしても、調べることが増えました。わからないことが多いですね。勉強、勉強。

  2. 初めて聞く「キクイモ」と言う名前。しかもいろんな調理法で食べることが出来るとなると、ぜひ一度食べてみたくなります。キクイモの味噌漬けはいったいどんな味?
    近所に「セイタカアワダチソウ」が見事に生えている場所があります。悪いイメージがあったので不気味な感じがしていたのですが、ちょっと見方を変えてみようと思います。意外とキレイな風景に見えるかもしれません。
    今日のブログは季節が変わっていくことを感じさせてくれました。確実に冬が近づいていますね。

  3. 秋の花粉症の原因は「ブタクサ」ではないことがわかって、少しほっとしました。でも、現状は昼間は鼻水が止まらず、夜は鼻詰まりで苦しんでいます。やはり、イネ科の花粉が原因なのでしょうね。人間の生活にとって大事な穀物の実を付ける時期に飛散する花粉が、花粉症の私たちを苦しめているなんて、情けない。よほど普段穀物類を大事にしていない罰が当たったのでしょうか。それと、「川原一面を彩る黄色い花」を子どもたちに見せたいと思い、保育園から散歩に出かけることが多くなったこの時期、また、保育園児の散歩の列に車が突っ込み、多くの子どもたちが死傷した事件が起こってしまいました。秋の自然にたくさん触れてもらいたい気持ちと、危険を避けるために、園庭で過ごさせるべきか、また悩みが増えました。

  4. 冬に向かっていく秋という時間は美しい景色の中にもどこか寂しさを感じるそんな季節ですね。走るのにもとても気持ちのいい時期です。11月には福岡を走る予定なので、9月、10月はしっかり走りこまないといけませんが、気持ちよく走ることも忘れたくないなと思います。キクイモという名前は初めて知りました。どこかで見かけているのかもしれませんが、あれかなというものが頭に浮かんでこないとで、次にそれらしいものを見かけたらキクイモもことを思いだしてみようと思います。たまに道路端に「特定外来植物駆除中」というような看板をみます。その度に外来種と在来種の考え方の難しさを感じます。在来種も外来種だったという過去もあったりするようですが、うまく付き合える形はあるといいのですが、なかな難しいのですかね。なんて、そんなことを考えずに綺麗な花を綺麗だなと思える気持ちも忘れたくないですね。

  5. まるで、一冊の絵本を読んでいるかのような気分になりました。身近な植物を題材とした、そのメインである植物の一生を追って、その過程では悪者と呼ばれることもあり、誤解の上で翻弄されながらも、色鮮やかな景色とともに、季節を導いてくれる大切な存在でもあるというイメージが浮かびました。また、「護岸工事」という単語も初めて聞きました。調べると、「川岸海岸の堤防などを補強して,洪水や高潮などの水害から守ること。」とありました。水害による被害が増えている中、そのような工事は必要なのですね。その作業と、季節の花々との共存ができることを祈っています。

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