ゆとりか詰め込みか

 保護者講演会のときに、いつも親はわが子をどのようにしたいのだろうかと思います。よく、「人に優しく、思いやりのある子に」とか、「人に迷惑をかけない子に」ということがあります。そのとき、逆に親は、「子に優しく、わが子に思いやり」があるだろうか?と、思ってしまうことがあります。また、本心からそう思っているのだろうかと思うこともあります。ここで、自民党総裁が決まりましたが、「わが子を将来総理大臣に!」と思う人は、たぶん日本では、数人でしょう。それも、その世界にいる人だけで、まったく違う世界の親は思わないでしょうね。まあ、子どもになにになって欲しいかという夢を持つのは、私は親の特権のひとつであると思っているのでかまいませんが、実際にそのように仕込もうとすると、本当に子どものためと思っているのか疑いたくなります。でも、本心から、親は子どものためと思っているのでしょうね。一人っ子政策の中国では、「とにかく子どもを最初のスタートラインから負けさせたくない」というのが、幼児英才教育に熱心なパパママたちの本音だそうです。早めの教育投資なら未来の進学や就職競争の中で先にチャンスを押さえたいという発想なのです。以前のブログ(5月12日)で、「大人の熱狂がエスカレートして奪ってしまう子どもの世界」を書きましたが、同じようなことが中国で行われているようです。それは「児童ゴルフ」というものです。新聞には、児童ゴルフのクラスやサマーキャンプの広告がやたらに多く、「児童ゴルフクラブに申込者が殺到」といった記事がよく掲載されています。昨年まで通常一箇所に10数人しか申込者がいなかった児童ゴルフクラブが、今年は夏休みに入る前から電話が殺到し、30人や50人の定員があっという間に埋まってしまい、多くの申込者は秋以降のコース開設まで待たなければならない、という状況だそうです。児童ゴルフクラブといっても決して安くなく、通常、10日間の短期ゴルフ・トレーニング・コースの場合、一人当たり3万円くらいから6万円くらい、3ヶ月におよぶ長期コースの場合は、全コース料金が約15万円にものぼります。しかも、コーチとの間では、英語でコミュニケーションを取るのが普通だそうです。つまり遊びながらのネーティブ・スピーカーによる英会話レッスンでもあるのです。この傾向に、スポーツ医学の専門家は「児童ゴルフは、子どもの筋肉や骨の成長にむしろマイナス影響だ」とメディアを通じて警告。社会学者も、児童ゴルフや児童MBAは単なる親の見栄張りだと痛烈に批判。幼児英才教育が大流行の傍ら、その是非についての大論争はネット上でも喧々囂々となっています。そのほか、上海にある「天才ベービーMBA」クラスは、授業内容が、経済学、想像力、コミュニケーション力など、全部で12科目で、週に1回授業を受けるだけとして、全科目を終了するには2年間もかかり、授業料は2万元(約30万円弱)にも及びます。経済学では、子どもたちに架空のおもちゃ会社を作らせ、そして広告を考案させながら、そのおもちゃを売り出すことを考えさせます。つまり、こういうプロセスのなかで知らず知らずのうちに子どもに「需要と供給」、「所得と支出」といった経済学の基本を習得させるわけなのです。これは、米国式幼児英才教育だそうです。一人っ子政策が始まって20年以上も経ち、子どもの英才教育は、どんどんエスカレートする一方です。「ゆとり」も問題ですし、詰め込みも問題ですし、なにが、子どもにとっていいのでしょうか。昨日、司法試験の合格発表がありました。少なくとも、こんなにお金をかけて詰め込まれた人の判決は、受けたくありませんね。

ゆとりか詰め込みか” への4件のコメント

  1. 子どもの英才教育をすすめる記事がインターネットに結構ありました。ゆとり教育では問題があるため、英才教育を望む親が増えているという記事も見たことがあります。「子どものために」という言葉を大人の勝手な思いだけで使わないようにしたいです。

  2. グローバリゼーションが全世界の津津浦浦に波及し、急速な勢いで二極分化をもたらしています。持てる者は英才詰め込み教育を行います。持てない者はまともな教育さえ受けられなくなっています。そして、このどちらもが子どもの都合によるものではなく、大人の都合によるものであることが悲劇です。詰め込みでもゆとりでもない、子どもたちが選べる、そして大人たちが待ってあげられる、そうした教育環境が提供できたら、世の中どれだけ良い方向に変わっていくことか。こんなことを言うと、わがままな子が育つ、とか競争社会で勝てない、・・・こうした声が聞こえてきます。やれやれ。

  3. 子どものことを思ってという気持ちがあるのかもしれまんが、それがどんどんエスカレートしてしまう現状を感じると、子どものためなのだろうか、親自身のためなのだろうか見ていて分からなくなります。一人ひとりの子どもに手をかけれる時間も増え、経済的にも余裕になった時代で、どう自分の子どもと関わるかは大切ですね。先日、読んだ河合先生の本に「昔の親は何をしてやろうかと考えたけれど、今の親の愛情は、何をしないかを考えなければなりません」という言葉がありました。とても分かりやすく、どんと胸に響く言葉でした。自分も親になった時に、どう考え、どう接するかということはしっかり考えていきたいです。

  4. 時代がもたらす変化に試行錯誤している社会同様、親たちも模索している様子がうかがえます。また、「児童ゴルフ」というのも人気を増しているのですね。確かに、メディアでも取り上げられて華やかな世界を想像してしまうと、会社員と比較してしまえば、その可能性を少しでも高くするためにできることをしようとする気持ちは分からなくはないです。しかし、スポーツ医学の専門家が発する警告を知ってしまうと、いろいろ考えてしまいますね。そう考えてしまうと、やはり、何になろうと必要になる力や、共通する強みなどを経験を通して身につけている方がよいということになるのですね。

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