夏も終わり、ビールと枝豆の季節も終わりと思いきや、そうではありませんでした。よく、俳句の季語でイメージと違うことや、言葉の意味を勘違いすることがあります。その代表のひとつに「小春日和」という言葉がありますね。先日の「秋桜」という歌のフレーズにも出てきました。ほかに、意外なもので、枝豆があります。枝豆というと、ほとんどの人は、ビールのおつまみを思い出すかもしれません。また、私は、花火大会を思い出します。どちらも、暑い夏のイメージです。しかし、枝豆は、秋の季語です。陰暦の9月の十五夜は有名ですが、その満月に行く少し手前の十三夜の月を、「豆名月」と呼んで、十五夜にお月見団子を供えるように、枝豆を供える習慣が、古くからあったらしい記載があります。あったそうです。ですから、そのころが枝豆の旬な季節であり、枝豆のことを「月見豆」と呼ぶこともあるのです。ただ、枝豆にもいろいろな種類があって、その種類によって、旬な時期が違っているようです。「振袖大豆」という種類の枝豆は、梅雨の終わりころが旬です。夏の暑い盛りに出回るのが、「東京早生」という種類だそうです。ですから、私の子どものころの思い出の隅田川の花火大会と枝豆が結びつくのは、当然のようです。そして、仲秋の名月のころに出回る晩生が、「鞍掛大豆」と呼ばれる種類です。枝豆は、昔は、関東以北で主に食べられていました。枝豆は、もとはみな、もちろん「大豆」です。大豆は穀物として古くから栽培されていましたが、枝豆が栽培され始めたのは300年程前で、平安時代ごろからこの食べ方があったらしいのです。枝豆として栽培されているものも、収穫適期を越えて、そのまま畑に放置しておけば、鞘も茶色になり、葉もしおれて、最後は葉が落ちます。そうすると莢は水分がなくなりその中の豆は大豆となります。当然ですが、これが種にもなるのです。最近は、品種改良で、生食に適した品種が「えだまめ」として食されています。海外においても、枝豆は人気商品だそうです。未熟な大豆を枝ごと取って食用にすることからエダマメに、あるいは、枝付き豆からえだまめと言われるようになったともいわれています。枝豆は大豆の未熟豆ですが、豆と野菜の両方の栄養的特徴をもっています。枝豆にはタンパク質、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、食物繊維を多く含んでおり、ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、体内で疲労物質に変わるのを防ぎ代謝を促す効果 がありますから、特に夏場によく食べる、ざるそば、そうめんやアイスクリーム等の糖質過多になりやすい時期には食生活の大きな役割を果たす食品です。また、大豆には含まれていないビタミンA、ビタミンCも含み、枝豆のタンパク質にあるメチオニンはビタミンB1、ビタミンCとともにアルコールの分解を助け、肝機能の負担を軽くします。ビールのおつまみによく枝豆を食べますが、非常に理にかなった事なのです。
最近、「だだちゃ豆」という日本一おいしいと言われる枝豆があります。独特の旨みとコクがあり、一度食べると忘れられない美味しさがあるといわれています。産地の鶴岡市の農産物直売所には東京や大阪からもだだちゃ豆を買いに来た人で長蛇の列とかうわさを聞きます。最近は東京でも近縁種が出回っています。この豆は、庄内(山形県鶴岡市)の近くを流れる赤川の川原が原産です。砂っぽい痩せた土地だそうですが、梅雨時には大量の雨が降るそうで、気象条件も正統のだだ茶豆の生育にはかかせないようです。他の土地で栽培すると味が落ちてしまうと言われています。旬は、8月ですが、旬というよりも8月しか採れません。”だだ”とは、庄内の方言でお父さんのことです。一番おいしい枝豆という意味があるようです。今年は、それを食べることができました。
枝豆がアルコールの分解を助け、肝機能の負担を軽くする、とは知りませんでした。居酒屋さんでお酒を飲む時には、意識して枝豆を注文しようと思います。「ただちゃ豆」の「だだ」が「お父さん」という意味であることも知ることができました。「とうちゃん豆」ということですね。家の中で一番偉い人が食べるお豆ということでなづけられたのでしょうか。家長制度が存在した時代の産物なのでしょう。今日もひとつ賢くなりました。
旬の食べ物にはすごい力がありますね。ほんのり甘い枝豆は小さい頃から大好きでした。特にゆでたての味は絶品です。他の土地で栽培すると味が落ちてしまうと言われるほどの「だだちゃ豆」を一度現地で食べてみたいです。