朝日新聞の9月06日の記事に「ノンタン30歳に 絵本34巻、子供たちを魅了」という記事が掲載されていました。「ノンタン」といえば、ネコの男の子が主人公の絵本「ノンタン」シリーズで、わが子が小さかった頃にとても好きな絵本で、いつも読み聞かせをしていました。そのシリーズの歌のカセットテープも持っていて、「ノンタン ノンタン ぶらんこの~せて!」「だめ~ だめ」という歌を何度も歌った思い出があります。

このシリーズが、偕成社から出版されて、今夏、30年を迎えたそうです。これまでに総計2700万部に達し、児童書としては類を見ないベストセラーとなっています。ノンタンは、76年8月に『ノンタンぶらんこのせて』でデビューしました。私が歌でおぼえている記憶では、ノンタンが、ぶらんこを独り占めして、なかなか友達に譲りません。記事によると、「あかんべノンタン」でも「あっかんべえ」とみんなを驚かせて喜び、おひさまから「あっかんべえ」と仕返しされます。しかし、最後は「でもやっぱりやめられない」で終わるというような内容に対して、そこには、教訓もなければ、道徳も説かない。こんな姿に、「わがままで反省がない」「子供のいたずら心を増長する」と児童書業界では当初、批判の声があったようです。しかし、そこには、子どもの心に共感するものがあるのでしょう。この姿は、誰でも持っている「子どもらしさ」かもしれませんし、子どもとしての発達の証かもしれないのです。心理学者の富田たかしさんは「ノンタンは共感を得るポイントを押さえている」「すごい人がすごいことをやっても共感できない。人間はネガティブな感情を共有して初めて、同じ立場に立つことができる。失敗したり、だめなところがあったりするノンタンは、身近な存在です」と指摘しています。「いつの時代も、子供たちはノンタンに自分を投影してきたのだろう。身近に感じるのと同時に、普通すぎる「非凡さ」ゆえ、ノンタンの淡々とした日常が理想的な世界にも見えてくる。」と記事は結んでいます。
同じように、子どもの共感を得る絵本に「ひとまねこざる」シリーズがあります。この本の主人公は、知りたがりやのかわいい、こざるジョージです。
H.A.&M.レイによるこの絵本シリーズは、半世紀にわたって、親から子へと親しまれてきました。動物園に住んでいたおさるのジョージは、とても知りたがりやで、人まねが大好きでした。ある日、動物園の外がどんなか知りたくてたまらなくなり、かぎを盗んで抜け出します。ところが、レストランに行けば、大きなお鍋いっぱいのスパゲッティを体中に巻きつけてしまうし、窓のガラス拭きに雇われても、のぞいた部屋のペンキ屋さんの真似をして、勝手に部屋中に絵を描き、ジャングルにしてしまい大騒動になります。とにかく好奇心いっぱいで、ひとまねの大好きなジョージが繰り広げる冒険に、子どもたちも夢中になって楽しみます。私は、このシリーズを使って、保育者養成校での「保育原理」の授業をすべて行おうとしたことがありました。この本の中には、保育者が知っておいてほしい子どもの姿が描かれているからです。「ひとまねこざる」という、レイ夫妻による絵本のシリーズのあと、この作品を原案にした「おさるのジョージ」シリーズがヴァイパー・インタラクティヴによって制作され、今でも続いています。この話の映画が今年上映されていました。よく、ジョージ・W・ブッシュ 大統領が、この主人公の猿と同名なため、揶揄するのに使われることがありますが、こちらの悪戯は、少しもかわいらしさは感じませんね。
「おさるのジョージ」は大好きなの絵本です。小さいときに読んでもらった本を思い出そうとすると、まずこの絵本が浮かんできます。目につくものすべてに興味を持ち次から次に手にして使ってみたり真似したりする姿は、大人から見るといたずらにしか見えませんが、とてもかわいく感じました。ちょっと前にどうしても読みたくなり買ったのですが、おもしろさやかわいらしさは変わっていませんでした。時代が変わっても多くの人に読まれている絵本はやっぱりすごいと思います。