選択

 私の園では、食事のときには、自分で食べる量とか、食べたくないものの選択ができるようになっています。また、自分で、自分の体をコントロールできるようになると、お昼寝をするかしないかを自分で決められるようになります。そのほかの活動においても、基本的には、少なくとも二つ以上の選択肢が常にあるようにしています。たとえば、どの活動の時間帯でも、図書コーナーだけにはいってよいことになっています。それは、必ずしも自分勝手に好きなことをしてよいということでなく、提示した活動を子どもがしようとしないときに、その気持ちを考えることで、子どもの心が見えてくることがあるからです。その気持ちに沿い、共感することで、自ら提示した活動に取り組みようになるからです。また、別の意味では、活動を自ら選択することで、その選択肢が少なく、大人から見ると究極の選択であるかのように見えても、子どもからすると、自発的な活動をしている気になるのです。子どもたちに、絵を描かせたいと思ったときに、「描きたくない!」という子が、何人かいます。そのときに、「遠足の絵と、運動会の絵とどちらが描きたい?」と聞くと、思わず、どちらかの絵を言うことが多く見られます。そんなことに近い話が、9月15日の 読売新聞に掲載されていました。「『選択理論心理学』教育に成果、広がる実践」というタイトルです。「教師が強制するのではなく、子供に自分で行動を選ばせ、責任を持たせる教育手法が注目されている。選択理論心理学に基づくもので、アメリカでは多くの学校で取り入れられ、成果を上げている。国内でも、日本選択理論心理学会がサマースクールや教員への講習を通じ、実践を試みている。」というリードがあります。内容は、「自分で選び行動に責任」ということで、実践が紹介されていました。この選択理論心理学は、自ら行動を選択する心の動きを研究し、カウンセリングなど様々な分野に応用するものだそうで、1970年代、米国で教育分野に取り入れる試みが始まり、カナダやオーストラリアなどにも広がっているようです。「自分自身で選ぶことにより、子供は行動に責任を持つようになる」という考えに基づき、暴力を振るったり、騒いだりする子供についても、しからずに自分の行為を振り返らせ、間違いに気づかせます。米国ではこうした教育が約200校で採用され、暴力行為やいじめなどが減り、学力も向上したといいます。日本では80年代後半から研究が始まり、2002年には日本選択理論心理学会が発足。現在、教員や主婦、会社員ら約600人の会員がいる。同会の実施する講習を受けた教師たちが、学校での指導に同理論を生かしているケースもあるといいます。「学年の枠を超え、共同作業をさせることで、競争意識ではなく、協調する気持ちを育てる」と、指導の特徴を説明しています。これは、小学生以上を対象としていますが、私は、幼児の世界こそ、その考え方を持つべきだと思います。その理由のひとつには、幼児期こそ、発達の個人差が大きいことがあります。また、認知的なものよりも、体験からの発達を促すことに課題があるからです。しかし、きちんと、幼児においての選択能力の領域の把握が必要です。その能力の範囲内での選択肢を用意するべきです。これは、必ずしも幼児に限らないかもしれません。大人でも、自分で選択する能力がなければ、決めてあげるとか、強制せざるを得ませんね。最近の飲酒運転のニュースを聞くたびに、そんな気がします。