文章題

 私が小学校で1年生を教えていたときに、算数の問題でこんな経験をしました。文集題の出し方で、子どもたちは解けなくなるのです。「鳩が電線に3羽いました。地面に2羽いました。あわせて何羽いるでしょうか?」子どもたちはほとんど全員、「3+2=5 5羽」と答えます。ところが、「鳩が電線に3羽いました。そこへ2羽飛んできました。何羽になったでしょう?」すると、半分くらいの子どもたちは、「先生!これって、足すの?引くの?」と聞いてきます。この二つの問題は、どう違うのでしょうか。子どもは、どう考えるのでしょうか。
 9月2日 の 読売新聞にこんな記事がありました。「小中学生 計算「文章題」は苦手」というものです。これは、いまさらという気がします。というのも、昔から、算数が苦手な子は、文章題は苦手であることが多いからです。記事の内容は、「計算は出来ても、文章題から計算式を導き出す力は低い――。」これは、文部科学省が所管する総合初等教育研究所が1日、発表した「『計算の力』の習得に関する調査の結果です。計算問題については、例えば、「0.3÷0.4」という、小数同士のわり算の正答率が、小5で82.5%に達するなど、好結果が出ました。一方、文章題から計算式を導き出す問題では、小中とも正答率が低かったようです。たとえば、「0.6メートルの青いテープと、1.5メートルの赤いテープがあります。青いテープの長さは、赤いテープの長さの何倍でしょう」という問題の正答率は、小学5年で47.1%。計算式を作ることができたのも51.2%にすぎませんでした。「6リットルは、何リットルの1.2倍か」という問題では、「6×1.2」「1.2×6」「6÷1.2」「1.2÷6」の四つの選択肢から解答を選ぶのにもかかわらず、正答の「6÷1.2」を選んだのは、小5で50.3%。中学生でも65.4%にとどまったようです。この結果に対して、毎日新聞では、結果を分析した清水静海・筑波大大学院助教授(算数・数学教育学)のコメントが掲載されていました。「計算技能が身についているわりに、計算の意味を理解したり、活用する能力が劣る。読解力を磨き、見積もりや確認の習慣を育てることを学校現場でもっと意識してほしい」
 今後、教師の指導法を改善する冊子などを開発していく方針だそうですが、私の経験では、ちょっと違う気がします。鳩を数える問題のとき、文章の最後の「あわせて」ということは、子どもたちは、「足す」と思います。「3羽いました。2羽いました。あわせて何羽?」子どもたちは、この文を、そのまま数式に当てはめます。「3と2を、たす。」と考えます。ところが、「何羽になったでしょう?」という設問は、足す場合も、引く場合もありえます。「なった」という文を「足す」か「引く」のどちらに当てはめればいいかわからなくなるのです。文章題では、文を数式に当てはめようとするのではなく、頭の中で、その場面を描くことが必要です。3羽いて、2羽飛んできたことを頭に描くと当然加わると思い、足せばいいとわかります。ということで、文章題が苦手な子は、文を実体験と結びつけないで、数式に当てはめようとする子どもに多いのです。それが、「算数が苦手」ということです。しかし、最近は、苦手な子だけでなく、子どもたちはいろいろな体験が少なくなってきていて、「文章題が苦手」な子が増えている気がします。もっと、幼児期に、さまざまな体験をすることが必要だと思います。