心の病

 朝日新聞の2006年8月21日の記事に「心の病、30代社員に急増」ということで、企業6割で「最多の世代」が書かれていました。「30代の会社員にうつ病や神経症など「心の病」が急増していることが、社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所の実施したアンケートでわかった。30代に最も多いとした企業は、04年でほぼ半数だったのが、今年には61.0%に増えた。また、6割以上の上場企業が、「心の病」を抱える社員が増えたと回答した。専門家は「急速に進む成果主義や管理職の低年齢化が一因ではないか」と分析している。 」ということですが、各年齢による比較では、「心の病はどの年齢層で最も多いか」を聞いたところ、「30代」と答えた企業が最も多く、全体の61.0%をしめた。40代は19.3%、50代以上は1.8%だった。心の病で1カ月以上休んでいる社員のいる企業の割合は7割を超え、これも増え続けているそうです。そして、「職場でのコミュニケーションの機会が減ったか」との質問に対して、「そう思う」「ややそう思う」と答えたのは約6割。「職場での助け合いが少なくなった」と思っている企業も、ほぼ半数でした。さらに、コミュニケーションが少なくなった企業で、「心の病が増加傾向」と答えたのは7割超だったのに対し、減少していない企業では半数以下にとどまり、職場環境の違いが反映した結果となったようです。同研究所では「心の病の増加を抑えていくためには、職場内の横のつながりをいかに回復していくかが課題だ」としています。
『選択理論』心理学の大家ウイリアム・グラッサー博士によると、
1.ひとが不幸な理由の大半は、満足できる人間関係を持っていないからである。
2.ひとが満足できる人間関係を持っていないのは、どちらかあるいは両方が、関係を改善しようとして、外的コントロール心理学を用いているからである。
3.そのような関係からは苦痛がもたらされるので、どちらかあるいは両方が、相手が用いている外的コントロールから逃れようとしている。
 この外的コントロールというのは、教育学では、「外発的動機付け」ということもありますが、外からの力で行おうとする場合です。よく言われるのは、1. 批判する、2.責める、3.文句を言う、4.ガミガミ言う、5.脅す、6.罰する、7.ほうびで釣る。などです。この方法は、確かに効果はありますし、即効力はあります。しかし、それによってコントロールされた力は、持続しませんし、自らの力にはなりませんし、それどころか、ストレスになります。そして、さらに、コミュニケーション能力が欠けてきます。どうも、最近、少子社会においては、親は子どもに対して、外的コントロールをしようとしすぎている気がします。では、どうすれば外的コントロールを使わなくて済むかというと、質問型のコミュニケーションを使い、相手に取るべき行動を自ら選択してもらえばいいのです。これが、最近注目を浴びている「コーチング」という手法のようです。(私は、あまり詳しく知らないので、少し違うかもしれませんが)園では、毎日の3歳児から6歳児の給食で、こんな場面があります。当番「どのくらいの量?」子ども「少し」、ある場面では、当番「何個ほしいの?」子ども「うん、3個かな」他の場面では、「どれがいい?」子ども「大きいの!」当番「どのくらい大きいの?」子ども「さっきの子のより大きいの!」毎日行われるこの場面では、コミュニケーション力をつけるための「コーチング」が行われているのかもしれませんね。

心の病” への4件のコメント

  1. 体罰が大きく問題になった事件がありました。その事件から体罰を含む指導法など、様々な場面で多くの人が議論しているのを目にする機会がありました。その中で体罰は必要であると答えた人は少なくはなかったように思います。部活動でも強豪と言われるチームの監督がものすごい剣幕で生徒に対して接しているのをよく見ることがあります。高校の部活動は2年半ほどしかありません。短い期間でパフォーマンスを上げようと考えるなら外発的動機付けは確かに効果のあることなのかもしれません。ですが、それは長い目で子どもたちを見て、将来のためにという思いが欠けているように思えてしまいます。外発的動機付けばかりしてしまう人も周囲から短期的に結果を出せや結果だけでしか判断しないという動機付けを受けているのかもしれませんが、何を大切にするのかは忘れてはいけませんね。

  2. 相手に、自らとる行動を選択してもらえば、外的なコントロールによってやらされていることなく自主的に行動できるのは、人はもともと、自分で自分の行動や思考を決定していきたいという欲求があることを感じます。その点を無視して、外発的動機付けによって満足できる人間関係が構築できないのは、非常につらいことですね。「心の病」が30代という経験が少ない年齢の層に多い結果から分かるのは、その分、経験がある40代50代の人との人間関係を構築していく必要があることを感じます。経験の差は、心の差を生みやすく、両者の歩み寄りが必要であり、そこに「満足できる人間関係」を構築するため「相手に取るべき行動を自ら選択してもらえばいい」という視点が重要であると感じました。

  3. 30代といえば、人生の中でも、基本、楽しい世代だと思っていましたが、「心の病」に陥る割合が高い世代でもあるということには驚きですね。私たちの園でも30代人口の割合が高くなってきました。まぁ、職員さんたちをみていると、「心の病」には無縁かな、と思います。私自身の30代を振り返ってみた時、会社をやっていたり、結婚したり、あるいは住む所を大きく変え、その地で保育園勤めを始めたり、いろいろさまざまなことがありました。決して楽なことばかりではなかったのですが、心の病に感染せずにやってこれたのは、やはり結婚してパートナーの支えがあったからでしょう。「満足できる人間関係を持って」いたからでしょう。今更ながら感謝する次第です。「質問型のコミュニケーションを使い、相手に取るべき行動を自ら選択してもら」うコーチングの方法は人間関係を円滑にしていく上で有効ですね。選択権があると、自分の主体性が保障されて嬉しいものです。一番いやなのは、やみくもに命令されることですね。

  4.  10年前からも心の病で悩まれている人が多いことに改めて驚きの気持ちを持って最後まで読みました。それが、すなわち人間関係からくるものだということを改めて知り、逆に、その人間関係さえよくなれば、その心の病は改善に至るのだ、という道筋が見えるような、そんな思いが湧いてきます。
     外的コントロール、というのは、乱暴な言い方をすれば、用いる側にとっては一種の麻薬のような力があると思っています。怒ったり怒鳴ったりすると、多分一瞬スッとするのだと思います。それによって相手が従うその様を見て、人によってはそれが快感なのかもわからない、と思ったりします。周囲にそんな自分の態度を肯定されでもすれば、麻薬を使うことが認められているのと同じで、次もイライラした時に使いたくなる。こういう感性の持ち主が、会社や組織の目立つところで働いているとなると、その組織にいる人逹は本当に嫌な思いをします。
     省我。この言葉を改めて大切な言葉だと思います。人を指導する上で外的コントロールしか用いれないような達人のような人は(笑)ぜひ自分を省みる機会をつくってほしいものです。

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