河合隼雄

 JALの機内誌の今月号に、「物語をつなぐ人」ということで、河合隼雄氏のことが特集で取り上げられています。河合氏は、文化庁長官として、奈良県明日香村の高松塚古墳で国宝の壁画が損傷した問題で、村を訪れて謝罪したあと、休暇を取っていたようですが、17日、奈良県内の自宅で、脳梗塞で倒れ、いまだに意識はなく、容体は重いようです。この機内誌ではありませんが、これからも物語をつないでいってほしい人ですので、回復して欲しいと思います。彼は、なんと300冊を越える本を出していますので、どれかを読んだことがある人は多いでしょう。その内容は、また別の機会に取り上げるとして、今回は、機内誌にある部分から興味のあったところを取り上げてみます。
 彼のことをよく表していることが、最初のほうに書かれています。
「休みっ中のは無いですね。だから分刻みで動いている。だから、飛行機や新幹線での移動の時間は有効的に使う。僕は、ぼーっとするのが大好きやし、天才的にうまいんです。ひとりになったらさっそく、ぼーっ。文化庁からもらった携帯電話は、国の財産を失ってはいかんからと、大事に金庫に保管してありますよ。」彼は、最初、奈良の高校で数学教師として生徒と触れ合います。そこで、「心のはたらき」に興味を持ち、心理学を学び始めるのです。なぜ、私が機内誌の河合氏の特集に興味を持ったかというと、今、危篤であると同時に、神話の国「出雲」からの帰りだったということもあります。彼は、さまざまな研究や、さまざまな分野の本を書いていますが、もともとは、日本初のユング派分析家であり、その資格を得るための最終論文は、「日本神話」をテーマに選んでいます。その後も、ずっと神話や昔話の研究をライフワークにしています。「人は、“お話”が好きでしょ。それは結局、人間の心の深いところに関係してくるわけです」と言います。そんな今78歳の彼が、湧いてくるエネルギーに源を「ものすごい訓練です。それと、美しい音楽を聴くとか、フルートを吹くとか、景色を見るとか、僕は楽しみが多いですから。自分で自分の心を豊かにすることを知らなかったら、絶対にこの仕事はできないです。」と記者に語っています。「僕は毎日遊び半分で生きているから。楽しいことだらけで、いっぱいエネルギーを持って、たくさん使って。ものすごく流れがいいと、相当出ていっても大丈夫なんですね。自分の力というより、流れているわけだから。」まったく、今の私の心境と同じです。私も、今、遊び半分(半分は、あそび心を持つという心の余裕が必要)というか、適当(ちょうど適当)というか、道楽(この道を楽しんでいるということ)でこの仕事をしている気がしています。また、身の回りには楽しみもたくさんあるので、このブログのおかげで、それを出すことで、毎日の流れを作っている気がします。そして、「いちばんリラックスするのは、家に帰って茶飲んで、ウチの奥さんと馬鹿話しているとき。僕はホンマに馬鹿話が好きやから。」と彼が言っているように、私も妻と話す時が、とてもリラックスします。そんな彼が、こんなことも言っています。アメリカ人から「日本の話は男女が別れたりする悲しい結末が多いけれど、われわれの話はみんなハッピーエンドですよ。」と言われて、「はあ、あなたは結婚をハッピーエンドと思っているんですか。日本ではアンハッピービギニングと言いますよ。」と答えています。「お話は、そこで終わるからいいんですよ。人生は簡単に終わらへんでしょ。」何とかがんばって、人生を簡単に終わらせないでほしいものです。

河合隼雄” への3件のコメント

  1. 河合隼雄さんのお顔は大変優しそうで、お顔を見るだけで癒されそうです。「ぼーっとするのが大好き」というのもいいですね。ネットやスマホの普及でぼーっとする時間は確実に減っている気がします。多くの情報を受け取ることで「何かしないと」と何かに迫られる感覚を持つより、たまには何も勘えずにぼーっとすることが次の動作への準備であったり、精神的な面でもイイように思います。ぼーっとする時間は意識して作っていきたいです。身の回りのことに興味を持ち、楽しみながら生きていく姿勢を藤森先生の姿から教わっています。時折、楽しむことを忘れてしまい、どうしてこんな思いを抱えているんだと思う事もありますが、楽しむ癖を体や頭に覚えってもらう動作を続けてそれが自然にできるような自分になりたいなと思います。

  2. 河合隼雄氏の言葉から、当たり前の事や常識といったものの中にある、見逃してしまいがちな部分に、新たな意味や価値を持たせることを楽しんでいる様子がうかがえます。様々な発想は日常に転がっているように、好奇心や好きなことからそれを見つけ出す過程にこそ、十分な価値が付けられるものである気がします。河合隼雄氏の乳幼児期は、いったいどんな姿であったのかなぁと想像してしまいましたが、自分が好きなことを十分にしたり、興味関心が妨げられない環境下にいたのかなとも思いました。そして、人生を楽しんでいる人が、そばにいたのではないでしょうか。

  3. 心理学者の河合隼雄さん、何冊かユング関係の本を読み、そのままで、やがて文化庁長官ご就任を伺い、なんだ政治家か、と思ったりしましたが、今回のブログでその認識を改めました。今回のブログ、8年前に読んだ記憶があります。その時は何故かコメントを残すことができませんでした。8年経った今、今回のブログを読み返すと、河合隼雄さん、今の私自身の心境に近く、しかも河合さんに共感できますね。「僕は毎日遊び半分で生きているから。」と文化庁長官にして日本の心理学の大家のこの発言、俄かに信じがたいところもありますが、おそらく事実だろうと思うのです。「毎日遊び半分で生きている」と言い切りたいものです。エネルギーが流れ出て行って、しかし枯渇することなどないのでしょう。私も趣味人ですから、枯渇しないエネルギーが自分の内にあるのだと思うと、そう思うだけで元気が出てくるから不思議です。・・・ユングか、『赤の書』を読まないと・・・。

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