12個の惑星

 誰でも暗唱している「水、金、地、…」という太陽系の9個の惑星が、一気に3個増え、12個になる可能性がでてきています。チェコ・プラハで開催中の国際天文学連合(IAU)総会で16日、惑星の新定義が提案されたためです。太陽系で惑星と認定されたのは1930年発見の第9惑星・冥王星が最後ですが、米観測チームが昨夏に冥王星より大きい「第10惑星(2003UB313)」の発見を発表するなど、近年、新天体の発見が相次ぎ、惑星の定義の見直しを迫られています。増える3個の候補は、第10惑星のほか、小惑星「セレス」と冥王星の衛星とされてきた「カロン」です。新定義を承認するかどうかの採決は、現地時間24日午後の予定です。どうなるでしょうか。なんだか、毎日の生活には関係しませんが、わくわくしますね。
 惑星とは、太陽その他の恒星の周りを回る天体です。規模の小さなものは小惑星と呼んで区別しているようですが、実は、惑星と小惑星を区別する厳密な定義はないそうです。漢字の「惑星」という呼称は、長崎のオランダ通詞・本木良永が1792年、コペルニクスの地動説を翻訳する際に初めて用いた造語です。天球上の一点に留まらず、うろうろと位置を変える様子を「惑う星」すなわち「惑星」と表現したことから来ると言われています。天文学が発達する以前は、天動説の見地から太陽や月も惑星の中に分類されており、七曜、週の曜日名や占星術にその考え方の名残があります。太陽もうろうろと迷う星だと思われていたのですね。もちろん、現在の天文学上の定義では、太陽は恒星、月は衛星に分類されています。寛政年間からそのように呼ばれたとしても、それら惑星は大昔から人々の目には見えていたはずです。ですから、それ以前は、惑星は、遊星とも言ったり、「行星」との表記も行われていたようです。明治期、学術用語として東大学閥が「惑星」、京大学閥が「遊星」を主張し、結局東大閥が勝ち、現在、「遊星」の表記は行われず、「惑星」といわれています。しかし、「遊星」の方が見慣れぬ言葉で幻想的なイメージがあるためか、ファンタジーやSFの世界ではこちらが用いられることも多いようです。
 そこで、惑星の科学的データではなく、それぞれの惑星が、神話上では、どう見られていたかが、その命名でわかります。水星はローマ神話のメルクリウス(英語のマーキュリー)と同一視され、したがってギリシャ神話では、ヘルメスにあてます。(宵の水星と明けの水星が一つの天体であることを認識する以前は、明けの水星にはアポロンを充てていました)これは、最内周惑星で運行が速いことから、足の速い神の名をつけたものです。金星は、ギリシャ神話のアフロディテ、ローマ神話のビーナスと同一視され、とてもきれいな星のため、世界各国でも、金星の名前には女性名が当てられていることが多いようです。火星は、古代の人々は、血の色のように赤く見えることから、戦いの神「マーズ」と名付けました。ギリシャ神話では、軍神アレスです。今の時期、夜空に見える木星は、ギリシャ神話のゼウス、ローマ神話のユピテル(英語のジュピター)と同一視され、立派なので、惑星の王として表されています。土星は、ローマ神話のサトゥルヌス(英語のサターン)と同一視され、ギリシャ神話のクロノスと同一視されることもあります。元来は農耕神です。天王星は、古代ギリシャ神話のウラノスに由来し、海王星は、古代ギリシャ神話のポセイドン(ラテン名ネプトゥヌス)に由来し、冥王星は、古代ギリシャ神話の冥王ハデスの別名プルトンに由来します。海王星や冥王星は、古代人の命名ではなく、近世以降に発見された惑星に他の惑星に倣い「未使用の神話上の大物」の名が付けられたもので、天体の外見や運行上の特徴と付けられた神名の関わりはあまりありません。さまざまな思いで星を見ていたのでしょうね。