花の名前

 昨年の9月23日のブログで、野の花の中で名前がまさにそれを言いえているということで、「継子の尻拭い」という花を書きました。それは、茎と葉のとげを見立てたものです。また、4月9日のブログでは、花の形がさまざまなものに似ていることから命名された野の花を書きました。そのほかに、その「におい」から命名された傑作があります。私は、遊びに来た小中学生と散歩して、この花を見つけると、その花と葉のにおいをかいでもらいます。そして、この花の名前を教えてあげると、みんな喜んだものです。特に、子どもたちにとって、とても好きな?名前だから、なおさらです。花などをもむと、いやなにおいがします。それは、「屁」と「クソ」を混ぜたような匂いです。ですから、この花の名前は、「ヘクソカズラ」(屁糞葛)といいます。日本全国どこへ行っても見られるお馴染みの植物ですが、なんとも強烈な名前ですね。その花を、今日、園庭で見つけました。
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 属名 Paederiaも、ラテン語の「悪臭 paidor」に由来するとのことです。万葉の頃はクソカズラと呼ばれていましたが、後に「屁」も付け加えられたとのことです。しかし、そんなかわいそうな名前だけではありません。花の中心部の赤いところが、灸(やいと:お灸のこと)をすえた跡のように見えることから、あるいはこの花を逆さにして人の肌に伏せると灸をすえているように見えることから。「ヤイトバナ(灸花)」とも呼ばれています。は、付けられたとか言われています。もっときれいなところでは、花を並べて早乙女が田植えをしている姿に例えて、サオトメバナ(早乙女花)とか、サオトメカズラということもあります。しかし、誰が考えても、まさにその花を言い当てているのは、「ヘクソカズラ」だと思います。(しかし、果実は光沢のある球形で、茶花としても用いられますが、そのときにはもちろんサオトメバナという名前を使います)このヘクソカズラは、野の花だけあって、なかなか優れものです。この葉や茎の上を、いつもアリがせわしげに往来しています。それは、花が落ちるときに萼が露出しますが、そこに残った蜜が目当てなのです。こうして、アリを呼び集めて、害虫を追い払ってもらっているのです。臭気という防衛手段を持っていて、その上にアリまで呼び集め、守ってもらおうというのです。
ほとんどの花は、その形から名づけられていますが、同じように、においから名前がつけられたものがあります。それは、「沈丁花」という花で、その香りは、千里のかなたまで香りが届くということで千里花とも呼ばれます。この花はこうしてつけられました。香木という心地よい芳香を持つ木材があります。その中で特に有名なものに、沈水香木(じんすいこうぼく、または沈香、じんこう)と白檀(びゃくだん)があります。また、カレーやシチューに入れると味が引き立つ香辛料にクローブというものがありますが、この日本名の「丁子(ちょうじ)」といいます。その強い香気は洋の東西を問わず珍重され、正倉院の宝物のなかにも当時輸入された丁子があるそうです。香りは沈香(じんこう)という香りに似ており、葉の形が丁子という植物に似ているところから「沈丁花」と付けられたのです。においそのものを表しているわけではありませんが、ずいぶんと、贅沢な名前をもらったものですね。