風呂

 今日の毎日新聞に、夏の風呂の入り方が書いてありました。最近、暑い夜が続きますので、つい、湯船に入らず、簡単にシャワーで済ませたくなります。なんだか、汗が洗い流せて、すっきりするからです。しかし、専門家は「シャワーと入浴では、体への効果が大きく違う。夏も面倒がらずに入浴してほしい」と話ています。エアコンによる冷えや日ごろの疲れの解消に、夏のお風呂を上手に活用して欲しいというのです。どうしてかという記事によると、「シャワーは体の表面を流すだけ。一方、湯船につかれば、血液循環が促進されし、毛穴が開いて汚れが落ちやすくなるなどの効果が期待できる。そして、体が温まると、体内の不要物質を取り除くフィルター役の腎臓や肝臓が活発に働き始める。エアコンの冷えなどで働きが悪くなった新陳代謝も回復し、疲労や肩こりの原因となる血液中の乳酸などの老廃物が排泄されやすくなる。また、じっくり温まれば汗が出て、毛穴の汚れが押し出される。しばらく汗が出ると、新しい皮脂が分泌され、皮膚の潤い保持に役立つ」といっています。しかし、注意事項として、「肩までドボンとつかる全身浴は心臓や肺への負担が大きく、高血圧や心臓に病気のある人、高齢者は注意が必要だ。また、熱い湯に入ると血液粘度増し、脳卒中の危険もあるそうなので、39度前後のぬるめのお湯に入ると、副交感神経の活動が優位になり、高ぶった精神状態を静めたり、筋肉の緊張を解く効果がある」そうです。
 年を取ると、どうしても昔のことを思い出して、その話題が多いのですが、私は、高校卒業するまで銭湯に行っていました。下町は、ほとんどの家には風呂がありませんでした。この銭湯のような湯槽式入浴は、江戸時代から始まったものですが、当時は内風呂を持てるのは大身の武家屋敷に限られ、火事の多かった江戸の防災の点から内風呂は基本的に禁止されていたのです。当時の銭湯の建築様式は、全国的に神社仏閣や城郭の天守を想起させる切り妻の屋根飾りがありました。そして、正面の入り口には大判ののれんがかけられています。まず、最近の居酒屋などで見られるような下駄箱があり、木の札の鍵をかけます。そして、男湯と女湯にわかれ中に入ると、番台が、男湯と女湯の脱衣所を共に見渡せる位置にあります。そこでお金を払って、積んである脱衣かごをとって、なんだか儀式的にそれを逆さにして床に「トン!」とします。たぶん、ほこりとか、何か入っているのを払ったのでしょう。番台の先には、男湯と女湯が行き来できる戸があって、店の人や、小さい子どもは自由にそこを行き来します。そこを行き来しなくなると少し大人になった気分です。そして、どういうわけか、片隅に小さな日本風の植栽などしてある坪庭があります。その廊下をいくとトイレがあります。浴槽は、大小あり、片方は深くなっています。そして、その境の壁は、下のほうがあいています。もぐって、そこを行き来するのが冒険でした。しかし、たいていの場合は、湯はとても熱くてそんなことをするどころか、水の蛇口近くにそっと入ります。水で薄めると怒られたものでした。ですから、大人になった証拠として、その熱さを我慢して、肩まで入るのです。ちょっとでも動くと熱く、おならの泡が背中を伝っただけでもやけどをしたくらいでした。そして、浴室正面の壁面には、富士山と松林のある浜辺のペンキ絵が広がっています。(どうも、女湯の浴室のペンキ絵は、富士山でなく、子どもが喜ぶ汽車や自動車が描かれることが多かったようです)定期的に、その絵は、書き換えられていました。他に、タイル絵もありました。図柄は主に「宝船」や「鯉の瀧昇り」、「七福神」などでした。こんな銭湯も、今は歴史館にあるだけになりつつあります。