坂といえば「長崎」を書きましたが、他にも「神戸」「尾道」を思い浮かべます。しかし、意外にも、東京にも坂は多いのです。しかも、名前の付いた坂道が多いのです。500以上は存在しています。坂道に名前を付ける慣わしは、海外にはあまりないらしいのですが、日本国内では各地で名前の付いた坂道が存在しており、これは東京だけに限ったことではありませんが、東京には由緒ある坂道の名称が現在でも数多く残されてきています。坂道といえば、テレビ番組の「笑っていいとも!」のタモリさんは、「日本坂道学会副会長」だそうで、「TOKYO坂道美学入門」という本を講談社から出版しています。そこに書かれているタモリによる「よい坂」の条件は、1. 勾配が急である、2. 湾曲している、3. まわりに江戸の風情がある、4. 名前にいわれがある、とあります。東京で坂道に名前がつけられたのは主に江戸時代以降です。中には、明治・大正期、あるいは戦後になってつけられたものもあります。名の付いた坂道は、地形の関係から、同じ地域にかたまって存在している場合が多いようです。文京区が最も多いようです。ついで、港区、新宿区、千代田区といった都心の区です。それは、都心の方が坂道一般が多いというよりも、歴史的に人が多く集まっていたため、名前も付き易かったのだろうと思われる。また、「山の手の坂、下町の橋」という言い方もあるように、丘陵地帯が多い山の手の地域には名の付いた坂道が多いようです。坂道の名称は、目に付いて気になる人が多いせいか、何故そのような名称がついているのか、由来が坂道の標識に書いてあることが多いです。坂道の標識は、ほとんどの場合は、坂上又は坂下の柱などになっています。この標識は、東京都や各区(教育委員会)が設置しているもので、いろいろなタイプがあります。

東京で有名な坂に、「神楽坂」があります。飯田橋駅前の外堀通りから、北西に向かって登る坂道です。東京で駅名(神楽坂、牛込神楽坂)にもなっている唯一の坂道です。神楽坂の地名は、筑土八幡神社で催された神楽がその由来だとする説が有力です。また、幕末から明治末にかけて菊人形の小屋が並び、この坂上には森鴎外、 夏目漱石、高村光太郎が居住していたことで有名な「団子坂」は、坂の近くに団子屋があったからとも、 また、悪路のため転ぶと団子のようになるからとも云われていると標識には書かれています。最も多い坂の名前は、「富士見坂」です。東京に約20あると言われますが、現在、実際に富士山を、この坂から見ることはできないでしょう。「江戸の坂東京の坂」(中公文庫 横関英一著)では、全国4000の坂名で一番多い名前は、「赤坂」で、土の色が赤い坂という意味で、全国で130ヶ所あるそうです。ちなみに、2位は「長坂」3位は、「小坂」4位は、「大坂」5位は、「高坂」(急な坂のこと)だそうです。他にも多いのは、稲荷坂とか、幽霊坂、新坂、胸突坂、暗闇坂、などがあるようです。また、「ドンドン坂」の名前は、東山手・南山手の急な坂の総称だったようです。また、同じところに2箇所の坂からいける場合は、よく、急な坂のほうを「男坂」、ゆるい坂のほうを「女坂」という場合があります。私の高校は、急な坂道を登ったところに校門がありました。私たちの間では、その坂の名前を、「地獄坂」とか、「遅刻坂」と呼んでいました。朝、急いで登るのには、とても大変だった思い出があります。