初めて物語

 昨日、プライベートで長崎県の「平戸」を歩きました。友人が平戸にいるので、案内してもらいましたが、平戸に行くと言った時、「平戸には何もないのに」と言っていました。もちろんこれは謙遜ですが、もうひとつこういうことが言えます。
「いつも果てのない蒼い大海原の景色を眺めている者はその大きさを知らず。いつも原野の限りないところに住んでいる者はその広さをしらず。それは長い間の事で慣れてしまっているからでる。これは唯、海野のみのことであろうか。」これは、山鹿素行の「中朝事実」の自序(序文)の現代訳の一部です。素行の教えは武士社会に大きな影響をあたえました。忠臣蔵の大石内蔵助ら赤穂藩士へも影響を与えています。また、幕末の吉田松陰も幼い頃より山鹿流兵学を学び、21歳の時、西国遊学で54日間平戸へ滞在し山鹿高紹に入門しています。この書籍は、なんとなく「国家の品格」に似たところがあり、もう一度日本のよさを見直そうというものですが、そうであっても、そこにいると、そこのよさがなかなか解らなくなるということでは、頷くことができます。素行は平戸藩主29代松浦鎮信と同年生まれで、江戸で生涯極めて親交深かったようです。弟、山鹿義行そして後に孫、高道が平戸藩家老に仕官しています。平戸藩は山鹿流兵学を藩学とし平戸城縄張りもそれによるものでした。
ここ平戸は昔より中国大陸や朝鮮との交流の要地でした。遣隋使や遣唐使もここから出発しています。倭寇といって恐れられていた水軍で名高い松浦党は、平安時代末期に誕生し、鎌倉時代以後には平戸を根拠地として私貿易や海賊行為などを行いました。天文19年(1550)には黄金の国ジパングをめざしていたポルトガル船が平戸に入港し、ポルトガルとの貿易が始まり、外国との貿易で栄えた平戸は「西の京」と呼ばれるようになりました。この当時にフランシスコ・ザビエルも鹿児島から平戸にきてキリスト教を布教しています。今、平戸には日本初の南蛮貿易の舞台となった当時の面影を残す遺跡が市内に多く残っています。
 そんな平戸ですから、「日本で初めて」というものがたくさんあります。平戸城に登る途中には、こんな碑があります。
tabako.JPGタバコの伝来
「日本最初 たばこ種子渡来の地」それは、日本に初めてタバコの種をもたらしたのは、1601年平戸に入稿したスペイン人宣教師といわれています。甘藷(さつまいも)は、1615年、ウィリアム・アダムズが貿易のため東南アジアに渡航した時、船の故障で寄港した琉球で甘藷を見つけ、当時の平戸イギリス商館長に贈ったと言われています。そして、彼は現在の千里ヶ浜で日本で初めて甘藷の栽培を行っています。1613年、英国船「グローブ号」が平戸に来航しましたが、長旅の疲れを癒すために積まれていたビールが、その時、船員たちとともに上陸したのが、日本へのビール初伝来と言われています。珍しいところでは、ペンキは、1609年、オランダ商館が平戸に建てられた時、その外観を彩ったのが、日本で最初に使われたペンキでした。当時は、建物に彩色を施す事自体が日本人の目には珍しかったでしょう。また、西洋医学は、長い航海を続ける船員たちの健康管理術として日本にもたらされました。その医学を学んだ嵐山甫庵は、平戸判田家の出身で、西洋医学(蘭学)の先駆者として知られています。また、臨済宗の祖・栄西は、渡宋の帰途、平戸に数カ月滞在し、「冨春庵(ふしゅんあん)」と呼ばれるお堂を拠点に禅宗を広めました。また、中国で入手したお茶の種子を冨春庵の裏山にまき、製茶や喫茶の方法を日本の人々に伝えています。
fusyunan.JPG
    冨春庵

初めて物語” への3件のコメント

  1. 保育園に勤務する前、勤務していた会社の赴任先が佐世保市周辺でしたので、平戸島や生月島には何度か行った事があります。
    オランダ商館の跡地などが復興されていたのではないでしょうか?
    私は、いつも生月島に渡る途中で気になっていた「ガスパル様」と云う案内板がありました。藤森先生は気付かれましたでしょうか。
    今回のブログを読んで、懐かしくその頃を思い出しました。
    追伸。
    銘菓カスドースたべられましたか?
    一番のお薦めは、すぼ(川内かまぼこ:あご・えそ・あじを使った)をツマミに「じゃがたらお春」を一杯。

  2. コメント、ありがとうございます。
    コメントは、あまり人を中傷するようなのはいやなので、許可制にしています。今日は、ずっと出かけていて、許可が今になって申し訳ありませんでした。
    佐世保にいたことがあるのは驚きです。
    仲間が佐世保にいるので、何度か行っています。
    1月に行われる研修会も会場が佐世保です。
    「ガスパル様」は、西村さんは、知っていますか?
    カスドースは、宿で出ました。
    園にもお土産でもらうことがあります。
    私としては、味を楽しむというより、歴史を食べている気がします。

  3. ガスパル様とは1558年生月島で最初のキリスト教の布教をしたガスパル・ヴィレラ神父のことです。彼は1609年、生月最初の殉教者になります。今、その場所に祈念碑が建立され、殉教者の遺徳がたたえられています。
    平戸に来られるということで、何を聞かれてもいいように本を買って勉強しました。ちょっとではありますが、平戸がわかりました。これをうちでは「藤森効果」といっています。
    1月の研修会にはかまぼこと「じゃがたらお春」「キャピタン」を持参します。

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