雨の歌 その3

「あめふり」を作詞した北原白秋は、他にもずいぶんと雨を歌った詩を書いています。有名なのが、「城ヶ島の雨」ですが、それよりも梅雨の頃の子どもの気持ちを書いた歌に、弘田龍太郎が作曲した「雨」があります。
1.雨がふります 雨がふる 遊びにゆきたし 傘(かさ)はなし 紅緒(べにお)の木履(かっこ)も 緒(お)が切れた 2.雨がふります 雨がふる いやでもお家(うち)で 遊びましょう 千代紙(ちよがみ)おりましょう たたみましょう 3.雨がふります 雨がふる けんけん小雉子(こきじ)が 今啼(な)いた 小雉子も寒かろ 寂しかろ 4.雨がふります 雨がふる お人形寝(ね)かせど まだ止(や)まぬ お線香(せんこう)花火も みな焚(た)いた 5.雨がふります 雨がふる 昼もふるふる 夜もふる 雨がふります 雨がふる
 なんだか切なくなりますね。それは、「はじめは雨が続いてつまらないな」と思う少女の気持ちを描いているうちに、次第に心の中にまで雨が降ってくるような気がしてくるからです。石原裕次郎の「ブランデーグラス」の歌詞にも、たしか「雨は降る降る 部屋の中にも胸にも」というのがあったような気がします。
 いろいろと雨の歌があり、しみじみとしたもの、しっとりしたもの、切ないものとありますが、私は、この「雨」のように雨が降るのをネガティブに考えるのではなく、もっと、ポジティブに考えたいものです。そのような意味で、最も雨の歌の中で好きな歌は、「あめふりくまの子」です。鶴見正夫作詞、湯山昭作曲で、この歌を聴くと、ここに出てくるくまの子を抱きしめたくなります。
1.おやまに あめが ふりました あとから あとから ふってきて ちょろちょろ おがわが できました 2.いたずら くまのこ かけてきて そうっと のぞいて みてました さかなが いるかと みてました 3.なんにも いないと くまのこは おみずを ひとくち のみました おててで すくって のみました 4.それでも どこかに いるようで もいちど のぞいて みてました さかなを まちまち みてました 5.なかなか やまない あめでした かさでも かぶって いましょうと あたまに はっぱを のせました
 昨年の5月10日のメルマガ(まだ、ブログは始めていなかったので)に書いたのですが、私の好きな歌に「おさるがふねをかきました」があります。その歌詞の「3、なんだか すこし さびしいと しっぽも いっぽん つけました。4、ほんとに じょうずに かけたなと、 さかだち いっかい やりました。」ということをするような「さる」を抱きしめたくなります。さるが船に尻尾をつけようとするところ、くまのこが水溜りに魚がいないかと覗き込むところが大好きです。そして、さるは、尻尾をつけてうれしくなって、逆立ちします。くまのこは、魚がいないので、その水を手ですくって一口飲みます。そして、はっぱを頭にのせます。そして、どちらも偶然ですが、さるは、「ふねでもかいてみましょうと」くまのこは、「かさでもかぶっていましょうと」と思います。この言い方は偶然でしょうか。今の子は、そんな風には思わないでしょうが、 私から見ると、子どもの世界の気がします。
 雨が続く毎日でも、いろいろと思いをめぐらすことができますね。