雨の歌 その1

 東京は、窓の外では今日も雨がしとしと降っています。まさに、梅雨という感じです。ところによっては、かなり降っているところがあるようで、梅雨というより豪雨なのでしょうね。本来は、あの しとしと雨が降る梅雨の季節は、なんとなく叙情的になります。熱情的な、あのカンカンと日が照りつける夏を前に、なんとなくしみじみします。そんなときを歌った歌が多くあります。子どもというキーワードで、この季節で思い出す歌に、作詞作曲不詳で、「尋常小学唱歌」だった「かたつむり」があります。
1、でんでん虫々 かたつむり、お前のあたまは どこにある。角だせ槍(やり)だせ あたまだせ。2、でんでん虫々 かたつむり、お前のめだまは どこにある。角だせ槍だせ めだま出せ。
 柳田國男の「蝸牛考」によると、「でんでん」は「出ろ、出ろ」と子どもがカタツムリを指して呼ぶ言葉が訛ったものではないかと推測しています。しかし、この「ツノ出せヤリ出せ頭だせ」の「ヤリ」とは、交尾の際に出る生殖器や恋矢とする説もありますが、はっきりしません。しかし、ツノと呼ばれるものは、頭部にある2対の触角で、大きい触角の先端には眼があります。このかたつむりにはとても面白いことがあります。彼らはゆっくりと移動するために、移動範囲が狭く、子どもを産むためにオスメスが出会う機会が少ないのです。また、たとえ卵が産まれても親まで無事に育つ可能性も少ないのです。そこで、より確実に、より多くの子孫を残すために、同じ体の中に雄と雌の両方の機能を持っています。(雌雄同体)これは、子孫を残すための戦略なのでしょう。そして、交尾後、両方ともが産卵します。ですから、飼うときに、オスメス考えなくて2匹入れておけば、卵を産みます。
 次の歌は、父子家庭の子どもにはかわいそうかもしれませんが、母親と子どものつながりを描いている歌詞としては、私は傑作だと思います。大正14年の北原白秋作詞、中山晋平作曲「あめふり」です。お母さんが迎えにきてくれたことで、うれしくて仕方ないという気持ちがよく出ています。あらためて、歌詞をよく読んでみてください。
1.あめあめ ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかい うれしいな ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン 2.かけましょ かばんを かあさんの あとから ゆこゆこ かねがなる ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン 3.あらあら あのこは ずぶぬれだ やなぎの ねかたで ないている ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン 4.かあさん ぼくのを かしましょか きみきみ このかさ さしたまえ ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン 5.ぼくなら いいんだ かあさんの おおきな じゃのめに はいってく ピッチピッチ チャップチャップ ランランラン
 この曲は、大正14年雑誌「コドモノクニ」に発表され、昭和25年から48年まで教科書に掲載されました。今の若い人は知らないでしょうが、「蛇の目傘」に雨粒があたると、ピッチピッチと小気味良い音がします。その擬音語が、子どもの心の弾んだ音とダブって聞こえます。