エコからロハス

 日本における学校の黎明期を見てきましたが、最新の学校とは、どのような学校なのでしょうか。日本建築学会が、文部省委託調査研究により平成5,6年度に「環境を考慮した学校施設のあり方に関する調査研究」で、「エコスクール」という概念を打ち出しました。これを受けて、文部省と通産省の共同により平成9年度から5年間「環境を考慮した学校施設(エコスクール)の整備推進に関するパイロットモデル事業」をスタートさせました。その内容は、「太陽光発電」や「蓄熱式空調システム」により省エネルギー化を図ろうというタイプが提案されました。以後、「CO2排出量の削減」「自然共生」「木材建築」「資源リサイクル型」「運動場の緑化」などの事業も行われました。この発端は、もちろん世界的に「京都議定書」で合意された温室効果ガス削減目標や「地球温暖化対策推進法」など、環境保全の取り組みからです。それは、新しく新設、改築された学校施設が、改築前の施設に比べてエネルギー使用量やエネルギー原単位が大幅に増加していることから、見直されたのです。しかし、それはなかなか難しいようです。昔よりは、生活水準が上がり、人工照明による照度基準が上がり、空調、換気設備の設置も増えました。また、特別教室の充実、多目的スペースの導入、ITに対応した設備、バリアフリー化のためのエレベーター設置など、時代の変化により、昔よりエネルギーが必要になってきています。人は、どうしても、快適に過ごそうとすると、それを機械に頼ろうとします。エコスクールというような、単に環境に配慮すれば省エネルギーになるという考え方には、無理があります。もっと、社会のあり方、人としての生き方に関係してきます。そういう意味で、最近いろいろなところで使われている「ロハス」という考え方を、学校建築にも導入しようとしています。すなわち、「ECOからLOHASへ」ということです。LOHAS(ロハス)とは、「Lifestyles of Health and Sustainability」(健康で環境にやさしいライフスタイル)の略で、もとはアメリカで生まれた概念です。意味は、「健康や環境に配慮し、持続可能な社会を志向するライフスタイル」のことです。これが、かつての環境への取り組みと異なる点は、従来の環境保護運動のように、何が何でも自然環境を守ろうと唱えるのではなく、自分が健康で気持ちよいスタイルを送りながら、自然や環境にとって良いことをできる範囲で行おうというスタンスです。このような考え方による学校施設への取り組みは、もちろん、教育内容にも反映しなければ意味がありません。そんな建物の中で、教師からの一方的な注入主義的教育を行ったり、子どもを監視するような間取りでは、豊かな生活が送れるはずはありません。ましてや、乳幼児の発達を促し、子どもの主体的な活動や自発的な遊びを保障する幼児施設ではなおさらです。「エコからロハスへ」ということは、「教育から援助へ」「注入から引き出すへ」「監視から見守るへ」というようなことです。また、子ども集団も、「共同体から共異体へ」「一斉から協同へ」と変わっていかなければならないのです。この新しい価値観の変化は、教育、保育の変化ではなく、生き方の変化なのです。いっせいに、国の号令で環境問題に取り組む時代から、個人が、自分でどう生きるかに結び付けて環境を考え、自分では何ができるかをそれぞれが考える時代にしていかなければならないのです。それが、世界に通用する人材になっていくことであり、世界に貢献していける人材になっていくのです。