さるく

 昨年は、愛知万博で盛り上がりましたね。この世界博のほかに、さまざまな万国博覧会が行われます。花博とか、未来博などがありました。今来ている長崎では、私としては好みの博覧会が開かれています。「日本ではじめてのまち歩き博覧会」という「長崎さるく博‘06」です。今月開幕し、10月29日まで開催されます。長崎というまちは、西洋への唯一の窓口であった鎖国時代から明治時代に育まれた異国情緒、色濃く残る中国文化、キリシタンの殉教と復活の歴史、人類が忘れてはならない原爆の悲劇、これらが重層して奥深い個性を持っているといわれています。「さるく」とは、長崎の方言で「ぶらぶら歩く」という意味だそうです。こういう企画は、とてもいいなあと思います。「長崎の奥深さを再発見してもらおう」と、市民レベルの発想で企画されたそうです。ここには、マンモスの頭もありませんし、パビリオンもありません。しかし、まち自体が展示物であり、その町の歴史的建物がパビリオンであり、歴史がイベントなのです。
私の園では、「成長展」という行事があります。以前は、どこの園でもあるような「作品展」でした。年齢ごとにさまざまな作品を作って、展示していました。作品展の前の子どもたちは大変でした。その日のために、見栄えのよい?作品を子どもに造ってもらわなければならないからです。絵を描かせたり、工作をさせたり、共同作品を作ったり、そのほか何かないかと考えたものです。小さい年齢では、また違った悩みが出ました。大人の思うとおりの作品を作ってくれません。勝手に殴り書きをします。それをいかにも作品のように見せる工夫をします。そんなある年、「子どもにとっての本当の作品はなんだろうか?」ということを職員で話し合った結果、「1年間の中で、子どもの一番立派な作品は、子どもの成長した姿ではないか。」ということに気がつきました。絵にしても、「今、何が描けるかということでなく、どのように描けるようになったか。」ということが大切なことに気がついたのです。それを、保護者に見てもらうこととして、年度末のこの時期に「成長展」ということで、開催することになったのです。子ども成長を展示しながら、保護者にも、この1年で、子どもたちはどのような成長をしたかたずねます。子どもたちは、どの時期に、どんな絵を描いているのか、給食の中でなにが好きなのかをたずねたり、1年間でどのくらい身長が伸びたか、体重が増えたかも実感してもらいます。
 「長崎さるく博」でも、「自分の歩幅で歩く街に、普段気づかない街の姿を見つけることができるはずです。」と書かれています。マップ片手に自由気ままに歩く「遊さるく」が42コース、路地裏まで知り尽くしたさるくガイドが案内する「通さるく」は31コース、講座とガイドツアーがセットになった「学さるく」が74テーマ用意されています。この中で、特に「通さるく」が人気があって、週末は予約でいっぱいだそうです。コース名もなかなかいいです。南山手洋館や港が見える坂の散策は、「長崎は今日も異国だった」という名前のほか、「媽祖様(まそさま)と唐(とう)りゃんせ」「長崎はローマだった」「文人墨客も思案した?」「龍馬が見上げた長崎の空」などです。こんなイベントが、各地で行われるといいと思いますね。今回は行けませんでしたが、できれば、会期中に来て見たい企画です。

さるく” への12件のコメント

  1. 長崎さるくのいいですね、祖父は佐賀の人でしたが「こぎゃん遅くまでどこをさるきよったろか。」と、夏休み山から虫取りに戻ったときに良く言われました。明日からは有田の陶器市です、南蛮風の便器でも見つけてきます。

  2. 目の前にある素晴らしいさに気がつく心は持っていたいなと思います。子どものにとっての作品とななんだろうと職員のみなさんで考えた結果、生まれた成長展なのですね。このようにいつもやっていることに対して、このままでいいのかな、本来の目的とズレはないのかなと考え、変化させていく動きは大切ですね。それをみんなで取り組んでいけるときっととてもおもしろく、やりがいのあるものになりそうです。自分でもできることから丁寧にやっていきたいです。長崎は私の好きな福山雅治氏の故郷なので、勝手に思い入れがあります。昨年、見守る保育の研修で初めて訪れたのですが、駅から出ると見事な雨でした。長崎は今日も雨でした。それが妙に嬉しかったのを覚えています。

  3. 長崎の町自体を、パビリオンにするという発想には驚きですね。近未来に関係するといった、“新しい発見”に心を踊ることで楽しみを得ているならば、いつも付近を通っていたのも関わらず、あの道にはこんな歴史があったのだと、そこで“新しい発見”をすることも、未来博などと一緒であるように感じました。先日、私も家の付近を散策してみると、普段使用している道の一本奥の道には、多くのアーティストギャラリーや面白いおもちゃ屋さん、庭園などがありました。また、そこに歴史も加わってくると、より面白くなるのでしょうね。「長崎さるく博」には、どんな発見があるのでしょうか。非常に気になります。

  4. 園の「親子遠足」はさながら「落合さるく」と称しても良い行事ですね。親子遠足係が一生懸命準備をしています。「さるく」と「親子遠足」と「成長展」とこの3つに共通していることに気づきました。それは、プロセスを楽しむ、ということです。「親子遠足」というと親子で大型バスに乗って、目的地に行き、遊んでお弁当を食べて帰る、ですが、私たちの園の遠足は地域めぐりで「さるく」と共通し、しかもプロセス重視で「成長展」につながり、何よりも園の考え方、連続する成長発達過程を楽しむ、ことにつながりますね。「作品展」から「成長展」へと変革を遂げるプロセスとして園長と職員が「気づき」を共有できたのは、「個人」「チーム」「組織文化」の三者を同時に変革へと結びつけた好事例です。こうした園がたくさん増えることを願って止みません。それにしても「まち自体が展示物」という発想は各自治体とも真似たらいいのにと思います。町おこしになると同時に、町の人たちの愛着形成にも役立つことでしょう。

  5.  昨年度の成長展に行くことができず、またイメージも湧かないままに行事に突入するのがどうしても嫌なので、とにかく前もって関連するブログは読みたいと思う今日この頃です。
     成長展が職員の方々と話し合ってつくられた行事ということを知って驚きました。保育園全体のコミニュケーションが豊かであることを感じます。多くの保育園が展覧会といういわゆる〝優れた〟作品を展示したい中で、子どもに負担のない形で、子どものありのままの姿を見てもらえるという、保護者にとっても子どもにとっても、そして職員にとっても最高の提案です。来年、それを目の当たりにできることが、今から楽しみになってきました。

  6. 作品展から成長展になった経緯を、頭にいれて置くことが常に初心を忘れないというのでしょうか、成長展を理念をもって行うことができると思います。゛「1年間の中で、子どもの一番立派な作品は、子どもの成長した姿ではないか。」゛という言葉を幹となる部分におき、それを保護者にいかに感じてもらえるのかを考え、環境を作っていくのかが私たちの役割だと考えられます。
    普段の街を改めて歩くといつもとは違う発見があり、気付きが多くあると思えました。゛さるく゛私がいる地域では、同じ意味合いで゛さらく゛と使うみたいです。

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