今日からの研修は、長崎で行われています。そのテーマは、「理論武装化計画」と書かれています。なんだか、面白いですね。誰に対して、武装化するのでしょうか。また、何を守るために武装化するのでしょうか。自分を守るためでしょうか。もちろん、そのタイトルは、大げさな書き方ですが、考えることがあります。厚生省が、制度を変えようと思ったとき、現場や教授たちにヒアリングをすることがあります。そのときのヒアリングを聞いていた人からこんな話を聞きました。厚生省がヒアリングをする相手は、医療関係と、福祉関係が主です。医療関係から話を聞いたときには、医師たちは、理系の最たるものなので、さまざまな資料と、研究データを持ってきて説明をします。しかも、理屈っぽい部分があるのですが、次々に筋道を立てて説明するそうです。その後に、保育問題について、保育関係者から意見を聞くことになり、各地の主任保育士さんたちに話してもらったそうです。「このように制度を変えることに対して、どう、思いますか?」「子どもは、国の宝ではないですか!」「?」「宝ですから、大切にしないと!」「どうすれば、いいのですか?」「だって、子どもって、かわいいですよね!」「えっ…」「情けないですよ、こんなことでは」「では、この制度は、どうなのですか?」「もっと、子どもを大切にするような制度にしないといけないのではないでしょうか。」こんなやり取りでは、保育の素人の議員さんや、行政マンには通じません。これに頷くのは、同じ業種の人だけです。「愛する」「大切」「かわいい」ということは、とても大切なことですが、それは感じ方であって、他人への説得にはそのような言葉は伝わりにくいものです。たとえば、このように言わないといけないと思います。「今の子どもたちは、こういう力が不足してきています。」「それはどうしてわかるのですか?」「この調査資料に現れています。」「そうするとどうなるのですか?」「これらの力が不足すると、研究では、このような子どもたちが事件を起こすことに関係してきていることが最近わかってきています。」「では、どうすればいいのですか?」「それには、こういう保育が必要となり、その保育を行うために、人的な配慮、このような研修、そして、このような検証が今後必要となるでしょう。」などです。
こんな本が出ています。「理論武装して部下を使い切れ!―強い上司になる30箇条」(松井健一 著)この本は、「仏(ほとけ)の笑顔で、理詰めで攻める。これほど恐く、頼れる上司はいない。」「管理者諸君。部下を納得させられないからダメなんだ!」などとあおっていますが、管理者の理論武装の必要性を説いています。しかし、理論武装には、怖さもあります。当人のみが勝手に筋道を立てて理解しているだけに留まり、相手側や第三者に対して何ら説得力を持ち合わせていない場合もあります。それは「へりくつ」です。また、梅田望夫氏が、講演会でこんなことを言ったそうです。「新しい現象に対し、古い感覚を総動員した理論武装で戦うな」これも理論武装ではありません。「理論とは、個々の事実や認識を、ある原理・原則によって統一的に、だれにでも納得できるように説明し、しかも実践の指針となりうるもの」(漢語林)なのです。ということで、理論的に武装することは、「誰でも納得」「実践の指針」が必要です。理屈っぽいと言うことは、非現実的なことばかり話したりしている人のことです。また、理論武装のできない人は、相手に利用されるだけ、正しい道から遠ざかる可能性もあります。相手と議論で勝つために理論武装するのではありません。仕事を円滑に進めるため、実践を効果的にするために理論武装が必要なのです。子どもを守るという仕事を、より質の高いものへ進めるために必要なのです。
●“理論には「誰でも納得」「実践の指針」”という言葉には、私も「納得」ですね。●“保育関係者」の「誰でも」は「保育関係者の誰でも」だったのでしょうね●私は一般会社から、十数年前幼稚園業界に入ってきましたが、最初に感じのたことが“使っている言葉の定義がハッキリしていなくて、本当のところがつかめないナ”ということでした。『その気づきの反省もなく、今では保育言語をバンバン使っていますが…』●安部富士男先生は“保育は経験科学です”と言われていますが、保育業界では、まだまだ“経験”だけに留まっていて、“科学”にまでなっていないのでは●藤森先生の言葉が“科学的”に聞こえるのは、先生が“小学校”を経験されていることに、その理由の一つがあるのではないでしょうか
耳が痛いです...。とかく理屈っぽくなりがちなところにいるので、机上の空論と言われないようにしたいものですが...。
と、同時に保育士さんにお話をうかがってよく「いい園舎考えてくださいね」と言われ、なにが「いい」のか、逆になにが不都合なのかを言葉の中から探り出せずに困ったことを思い出しました。
きっと理論武装のお手伝いをすることが私達の役目なのでしょうね。まだまだ自分で精一杯ですが。
今日のブログを今後の理論武装化研修会の指針とさせていただきます。ありがとうございました。