« コミュニケーション力 | メイン | ミモザ »

2006年03月31日 近頃思うこと

コミュニケーション力2

 園や学校でコミュニケーション力が必要だと思うときの一つは、保護者とのコミュニケーションが取れないときです。元NHKアナウンサーの吉田たかよしさんは、次のように言っています。
「初対面の保護者と話しをするときは、一番大切なのは、「聞く」に徹することです。自分の情熱をわかってもらおうとして自分が話すことになりすぎている可能性があります。営業でもセールスの世界でも同じですが、もっとも大切なポイントは、こちらのセールスポイントを語るのではなく、相手のニーズを聞き出すことです。9割は聞くこと。話すことは1割。私たち人間の基本的要求は、情報を他人に話すことアウトプットと、他人から情報を聞くことインプットが、1対1の割合になるようにできています。ところが、メディアが発達した現代社会では、アウトプットがほとんどなくて、インプットばかりに偏ってしまっています。そこで、現代人のほとんどは、「自分の話を聞いてもらいたい。」という根源的な欲求が満たされずにいるわけです。この「話したい」という欲求を解消しない限り、次のステップには進めないと思います。」彼は、アナウンサーを勤めた後、医師免許を取り現在クリニック院長ですので、このようなコミュニケーションのとり方を医療の世界からも言及しています。
「医療というのは、アウトプット中心の世界。手当てをしたり、注射をしたり、処方箋を書いたり、生活所の指導をしたりというのは、医者から見ればアウトプットです。しかし、それより大事なのはインプットのほう、つまり、患者さんから正確に悩みを聞いてあげることなのです。「正しく悩みを聞くことができれば、病気の半分以上は治ったのも同じ」というのは、医療の世界では戒めとして語られていることです。医療の専門用語では「デブリーフィング」といいますが、医者が患者さんの悩みや症状を正確に聞きだすことで自然治癒効果が働くというのは、医療の世界ではよくいわれています。」(学研「すまいる」より)
 そういえば、ずいぶん前の話になりますが、ヨーロッパの福祉事情視察で厚生省の人たちとヨーロッパに行ったとき、メンバーの一人が具合が悪くなって、医者を呼んだことがありました。あとで、何をしたか聞いたところ、診察時間の9割が話を聞いただけだといっていたのを思い出しました。考えてみると、それは症状を正確に聞き取るというだけでなく、旅行先でその人が具合が悪くなったのは、精神的な部分が大きかったので、話を聞いてあげることが治療のひとつだったのでしょうね。だから、「医は仁術」といわれる所以でしょう。どうも最近の医者の中には、ただ検査結果だけを見て、患者の顔も診ずに病名を伝え、処置方法を伝えるだけという人もいるようです。時間がなく、忙しい世の中ということもあるのでしょうが。同様に、福祉、教育はアウトプットの世界です。しかし、まず、子どもの話をよく聞き、子どもの様子をよく見、保護者の話をよく聞くインプットが重要でしょう。保護者の中には、苦情や文句を言うときに、その内容を伝えたいというよりも、話を聞いてもらいたいということがあるかもしれません。子どもも、話を聞いてもらいたい、関わってもらいたいというサインを「わるさ」をすることで表現していることがあるのでしょう。「仁」は孔子が、「ひとをひととして扱う心構え」と名づけたことに始まるといわれます。「教育は、仁術」だと思います。

投稿者 fujimori : 2006年03月31日 17:44

コメント

コメントしてください




保存しますか?