コミュニケーション力

 中教審は1年にわたり次期指導要領について議論を続けてきました。そして、出された原案では、日本の子どもの学力について、04年12月に公表された国際学力調査の結果をもとに、成績低位層が増加する「二極化」が進行していると分析しています。なかでも、読解力や記述式問題に課題があるなど、学力の低下傾向があると認めています。また、学習や職業に対して無気力な子どもが増えているとも指摘しています。そして、これを補うため、次の指導要領では、言葉や体験などの学習や生活の基盤づくりを重視する「言葉の力」を、すべての教育活動の基本的な考え方にすると明記しているのです。その内容を、原案では「言葉は、確かな学力を形成するための基盤。他者を理解し、自分を表現し、社会と対話するための手段で、知的活動や感性・情緒の基盤となる」と説明しています。これを、各教科にどう反映させていくかについては、○古典の音読・暗記や要約力の促進(国語)○数量的なデータを解釈してグラフ化したり、仮説を立てて実験・評価したりする(数学・理科)○感性を高めて思考・判断し表現する力(音楽・美術)――などを例示し、国語力の育成と関連づけた論理的思考力や表現力の重要性を強調しています。
 確かに、日本の子どもたちは、コミュニケーション能力が最近欠けてきているといわれています。また、他人に自分の考えを伝えるプレゼンテーション能力に欠けているということは、昔から言われています。最近、就職をするうえで、会社が特に重視する能力として、このコミュニケーション力とか、プレゼンテーション能力が求められてきているように、これからの時代に必要な力とも言われています。これは、日本人特有の性格や、習慣によるものがありますが、少子化の影響によるところが大きい気がします。親に、自分の考えを言わなくてもわかってもらえます。訴えなくても、先にかなえてくれます。赤ちゃんのコミュニケーションとして「泣く」ということも、泣かせるとかわいそうということで、泣く前に欲求をかなえようとしてしまいますし、赤ちゃんのほうも、何度も泣いたり、長く泣く必要もありません。一生懸命に伝える必要がなくなっています。それだけ、子どもをよく見る時間があることや、手をかけられる時間があるようになったということが、ある部分の力をなくしていることにもなります。昨日、ある出版社から取材がありました。テーマは、「幼児期の子どもに、どうしたらコミュニケーション力をつけることができるか。」で、保護者用の本の記事だということでした。私は、二つの観点を言いました。一つは、以前にブログでも書いたように、話させようとする前に、大人が聞こうとすることが大切であるということ。もう一つの観点は、脳科学的に、最近、このコミュニケーション力は、「前頭葉」の働きによるものであるということがわかってきています。そこで、ただ、コミュニケーションをつけようとするのではなく、乳児の頃はやさしく語りかけ、スキンシップを図り、いっしょに運動をし、なるべくテレビやゲームに子守をさせず会話をし、など話してきたら、何ということはありません。子どもにとって、良いということをしていれば、結果的にコミュニケーション力もついてくるという話になりました。基本的には、正常な関係性発達をした結果です。教育の中で、ただ伝える手段をどう学ばせようかという話しだけにはしないでほしいと思います。また、英語も、伝える手段だけを教えるようになってほしくはないですね。

コミュニケーション力” への1件のコメント

  1. 『基本的には、正常な関係性発達をした結果です。』を忘れずにいたいと思います。
    こうすればこうなる、というように簡単に考えるマニュアル的なものを保護者の方は聞きたがりますし、
    その方がわかりやすいようですが、、、
    そこに必要なのが専門性!
    藤森先生のプログを読みながら反省しました。

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