あかね雲

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 身の回りには、草木や鳥のほかに、星や風でも季節をかんじました。そのほか、空や雲でも感じることができます。入道雲では、真夏を感じ、うろこ雲では、秋をかんじます。また、雲は、季節だけではなく、時を感じることもできます。先日、あんずを見つけた日に、家路に向かいながら次第に日が沈み始めました。そのときの空に「あかね雲」が広がっていました。「あかねぐも」(茜雲)とは、朝日や夕日を浴びて茜色に照り映える雲のことです。朝日に限って言うと、東の方が赤くなるので、「東雲」(しののめ)といいますね。「あかね」というと、よく女の子の名前にもつけることがありますが、本来は、アカネ科の蔓性の多年草で、晩夏、多数の淡黄緑色の小花を円錐状につけます。その根は赤い染料に使われたり、薬用に使われたりします。ですから、「あかね」は、赤根からとった言葉です。また、「あかね」というと、また、学校時代を思い出すことがあります。「あかねさす○○○」という歌が多いですね。それは、茜色に鮮やかに照り映える意味から、「日」「昼」「紫」「君」などにかかる枕詞として、また、紫(古代紫)は赤みを帯びていることから、「紫」にかかる枕詞として、また、照り映えて美しいの意味から、「君」にかかる枕詞として使われたからです。この「あかね」を使って、茜色とか、あかね雲とかありますが、どうも、気象用語には、「あかね雲」は無いようです。もともと、雲は、いろいろな形や性質を持っています。そして、その雲の、形や性質に着目して分類し、いろいろな名前がついています。雲の名前の付け方は、時には学術的であったり、また時には地域の暮らしの模様をよくあらわしていたりしていますので、雲の名前を知ることで、その雲と人とのつながりを肌で感じることができます。そのなかで、世界気象機関(WMO)の国際雲図帳に定められた分け方は、とてもわかりやすいものです。この分類でいくと、10種すべてに2文字の略号を持っています。略号は、以下の用語を合成して作られています。10種雲形は、巻雲(Ci)・巻積雲(Cc)・巻層雲(Cs)・高積雲(Ac)・高層雲(As)・積雲(Cu)・層積雲(Sc)・乱層雲(Ns)・積乱雲(Cb)・層雲(St)です。この文字は、次のようなことを表しています。「C」は、circle(円)、circulation(循環)、「A」は、alto(高い)、「C」は、cumulus(積状の)、「S」は、stratus(層状の)、「N」は、nimbus(雨雲)です。ですから、高積雲は、Acとされ、「A」高い「c」積状の雲ということになります。ほかの呼び方として、雲の発生する場所に応じて呼び分ける方法があります。上層雲は、高度6000m以上の雲のことを言います。また、雲の形状では「もくもくタイプ」「べったりタイプ」「すじ雲タイプ」に分かれます。あと、見た目を重視して命名した「種」、雲片の配列や厚さで命名した「変種」、雲の一部に現れる形を重視した「副変種」があります。レンズ雲(レンズ様の形をしているため)などです。そのほか、日本は天候表現が豊かな国で、雲に関する和語が多いようですそれらは、何かにたとえてあることが多く、風流だとして俳諧などで用いられています。これに分類されるのが、すじ雲・うろこ雲・いわし雲・まだら雲・ひつじ雲・さば雲・雨雲・雪雲・くもり雲などがあります。あかね雲もその色から名づけられたのでしょう。もっと、カラフルなものは、彩雲というのもあります。雲は、そのときの気流や、気温などによって形状が分かれるために大体の形に分類されますが、子どもにとって、もっと自由な発想を生み出すものです。親子で、じっくり雲を眺めながら、何に見えるか言い合うのも楽しいですね。

あかね雲” への4件のコメント

  1. 風もそうでしたが、雲もたくさんの呼び名がありますね。知らない名が多いので聞かれても答えられませんが、だからこそ呼び名を想像してみたりと楽しむことはできそうです。知っていることが多いより、知らなくても興味を持てること、不思議さを楽しめることが大事だというのは、こういうことなんでしょうね。

  2. 雲にはこんなにも多くの名前がつけられているのですね。私は積乱雲を見るのが好きです。積乱雲が出始めると夏を感じるからです。出始めの頃はこれからやってくる夏にわくわくしますし、夏真っ只中の積乱雲にはより一層夏を感じ、夏も終わる頃の積乱雲には、この雲もそろそろ見納めなのかなと寂しくなります。積乱雲だけではなく、時にはちょっと空を見上げて、雲に見る時間も作っていきたいですね。

  3. 以前あった「色」についてのブログもそうですが、今回の「雲」のように、日本にはひとつの存在を多くの種類に分け、多くの名前が存在していることが感じられます。そこには、日本人の遊び心やそのものを楽しむ心が関係しているようにも思いました。それによって、季節や天候の違いを感じたりすることで、“自然と共存”してきた証みたいなものを感じることができます。今、その多くの名前を知っていたり、理解している人は少ないと思います。それは、自然との距離が離れてきているというメッセージかもしれませんね。

  4. 雲の形状を観るのは楽しいですね。青空に様々な形状で浮かぶ雲、それらが水滴の塊である、とは知っていても、子どもの頃に夢想した雲の上の国やふわふわ感が想起され、何とも詩情豊かになってきます。「あかね雲」を見ると、あぁ、明日も晴れるんだ、と嬉しくなります。夕焼け雲、観ると何だかとても落ち着きます。それから「東雲」(しののめ)、これは若い頃の思い出です。よく徹夜をしていて、朝焼けを窓外に確認して眠りについたことを思い出しました。田舎でのことです。世界気象機関(WMO)の雲の略号、面白いですね。「積乱雲」のCbって何と思って調べると、Cumulonimbus のCbでした。そしてこれはcumulus(積状の)とnimbus(雨雲)の合成語で、積乱雲は確かに「積状の雨雲」です。雲の形状を現す日本語は本当に多いですね。そして風情があります。諸外国語にも雲を現すさまざまな表現はあるのでしょうが、雲の前に、いわしやひつじやまだら、さば、などという他の生物を連想できる名前をもつ雲用の言葉は果たしてあるのでしょうか。

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