カバン

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 少し前に、世界文化社という出版社から、「安野光雅のいかれたカバン」という絵本をもらいました。安野は、島根県の津和野町の生まれです。(ずいぶんと先ですが、今年11月に津和野で講演会があるので、楽しみです。)そして、山口県で小学校の教員を務めて、東京で、美術教員として約10年間あまり小学校で教師を勤めながら、本の装丁やイラストなどを手がけています。そして、画家としても数多くの作品を発表しました。絵本「ふしぎなえ」(福音館書店)で絵本作家としてのデビューを果たします。これは、エッシャー的な不可能図形の不思議な世界を描き、世界中で評判となった代表作です。その後、淡い色調の水彩画でやさしい雰囲気漂う作品を数多く発表しています。「あいうえおの本」(福音館書店)でBIB金のりんご賞、「安野光雅の画集」(講談社)でボローニャ児童図書展グラフィック賞・グランプリを受賞しています。(私も一度どうしてもこの図書展に行きたくて、ボローニャまで行ったことがあります。)彼の作品の中で、私の本(さんすうのはじまり・こくごのはじまり)と同様に幼児用の数学の本を書いています。「はじめてであう すうがくの絵本(1)(2)」(福音館書店)です。これは、読んであげるなら4歳児くらいからわかると思います。発見の喜び、創造の楽しさに満ちた数学の本として、定評があります。第1巻は、「なかまはずれ」「ふしぎなのり」「じゅんばん」「せいくらべ」という内容で、第2巻は、数式や記号のかわりに、ウサギやカラスが登場します。「ふしぎなきかい」「くらべてかんがえる」「てんてん…」「かずのだんご」「みずをかぞえる」という構成です。絵もとてもいいですが、数学の本としても、とても面白い本です。
いただいた「安野光雅のいかれたカバン」という本は、彼が、30年以上前に書いた絵について、30年前の自分と今の自分との対談形式で語っている内容です。最初のページにこのように書かれています。
「やい、お前たち、黙ってここが通れると思っているのか。そのカバンをあけて見せろ。鍵がないんです。ウーム、妙ないいわけをするな、なにが入っているんだ。さあ、あまり昔のカバンなので、覚えていません。なに、覚えていない?中を見せないと通すわけにはいかんぞ。じゃあ、通らないで帰ります。まて、あやしい。こじ開けるぞ、あのな、規則が変わったんだ。テロ防止だ。カバンが壊れます。ぼくたちもまだ見ていないのに。ぐずぐずいうな。もし、怪しいものが入っていたら、お前たちを喰っちゃうからな。コジゴジコジゴジコジゴジ ア、アーア、カバンがいかれてしまった。なんだ、こりゃ絵か、たいした絵でもないのに、だいじそうにしまってあるな。その絵、みんなあげますから帰らせてください。あ、狼の絵じゃないか!!待て!お前たちを喰うことに決めた!!」
 私は、今日は、富山に来ていますが、黒いカバンを持ってきています。今、必ず入っているものは、ブログを書くためのパソコンと、自前の「歯ブラシ」と「歯磨き」と「髭剃り」です。「中身を開けろ!」と疑われるでしょうか。とてもマニアックですが、突然、泉谷しげるの「黒いカバン」という歌を思い出しました。この歌は、岡林信康「チューリップのアップリケ」、赤い鳥「竹田の子守唄」、フォーククルセダーズ「イムジン河」と同様放送禁止になった歌です。黒いカバンを持って歩いているのを警官にとがめられます。職務質問答が歌になっています。「おまえはだれだ!」と聞かれて、「人間だ。」と答えるところがいいですね。