美術教育

今までの美術教育、特に、幼児に対しての美術教育で、少し違うなと思うことがあります。たとえば、塗り絵は、児童の創造性を損なうとして、批判されたことがあります。それは、形、縁取りがすでに書いてあるので、自由な形作りを創造する必要がないからでしょう。しかし、創造性は、必ずしも、形作りだけではない気がします。たとえば、色に対する創造性だってあるはずです。塗り方にだって、創造性はあるはずです。また、塗る素材にも創造性はあるかもしれません。これらの創造性は、塗り絵でも育つことがあるのではないでしょうか。特に、デザインにおける創造性を養うためには、塗り絵は、よい素材かも知れません。また、以前の曼荼羅塗り絵のブログでも書いたように、美術には、心を癒す効果もあります。心が落ち着き、ゆったりとした気分になったり、逆に気持ちを高揚させたりする効果もあります。先日の新聞に、こんな特集がありました。「大ブーム おとなの塗り絵本」というものです。最近、「塗り絵」の本が売れているそうです。それは、子どものキャラクターものではなく、おとなを対象に、名画などを線画にした塗り絵を、見本のカラー図版とセットにした出版が、昨年末、活況を呈しているようなのです。部数、出版数ともうなぎのぼりだそうです。「大人の塗り絵」シリーズ(河出書房)は、「美しい花編」をはじめとするシリーズ5冊で、48万部を超える出版があったそうです。これは、郷愁を誘うと同時に、癒しの効果があると思います。もう一つ、近年のドリル本の人気から、脳の活性化に効果があると謳っているのもあります。日本でも、「マンダラ塗り絵」が春秋社というところから出版されています。帯封には、特徴として、「●無心に塗ることで、日々のストレスから開放されます。●楽しみながら塗れば、こころとからだが知らぬ間に癒されます。●塗りあがったものを通して、今まで気づかなかった「自分」に出会えます。●子どもの創作意欲を刺激し、創造力を育てます。●調和の取れた図形を塗ることが、子どもの心の豊かな成長をはぐくみます。●手を使い配色を考えることで右脳が活性化し、お年寄りの脳の老化防止にも役立ちます。」これらは、美術教育というよりも、美術の持つ力のような気がします。私は、歌を幼児に歌わせることは、何も歌手にするためではなく、歌うことの楽しさから、心が癒され、うきうきさせるのと似ている気がします。大人になって、歌をそのような存在にさせたものが、「カラオケ」のような気がします。疲れて帰るとき、1曲歌って帰るように、1枚絵を描いて帰るようなことにならないかなと思っています。それに反して、今の子どもたちは、どんどん、大きくなるにしたがって、絵が嫌いになる子が多いといいます。歌や、絵画が、生活に潤いを持たせ、心を豊かにする存在になるような教育が必要なような気がします。また、身の回りにあるさまざまなデザインに関心を持ち、特に、産業デザインといわれているものに興味を持つような、デザイン力をつけるような教育も必要なような気がします。もう一度、決め付けないで、塗り絵を見直してもいいかもしれませんね。
今日は、3,4,5歳児の子どもが、私の顔や姿の絵を書きました。対象が私というだけで、普段描こうとしない子が描き始めたり、いつもまるしか書かない子が、それなりに顔になったり、帰りに会うと、「今日は、園長先生の絵を書いたんだよね。」と声をかけられたりすると、何であれ、きっかけが大切な気がします。

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