数の美

 今、長崎から、福岡の二日市温泉に来ています。二日市の中の「2」という数字は、どういう意味を持っているでしょうか。100までの「素数」の最初のほうを並べてみると、「2,3,5,7,11…」と、25数字が並びます。その中で、2だけが一つだけ偶数であり、最初の数字です。これを、博士は、こう言います。「素数番号?の一番打者、リードオフマンは、たった一人で無限にある素数の先頭に立ち、皆を引っ張っているわけだ。」「淋しくないのかな」「いやいや、心配には及ばないさ。淋しくなったら、素数の世界をちょっと離れて偶数の世界に行けば、仲間はたくさんいるからね。大丈夫。」
 これは、今、公開されている「博士の愛した数式」という映画の原作にある一文です。この本は、小川洋子さんという作家が書いた小説です。私は、映画は見ていませんが、個人的には、この原作はとても好きなジャンルです。これは、交通事故で、80分しか記憶ができない老数学者と、そこに来た10歳の息子を持った家政婦との触れ合いを、「数」を通して描いたものです。たとえば、最初に訪れた日に、博士が名前より先に、こう尋ねます。「君の靴のサイズはいくつかね。」「24です。」と言うと、「ほう、実に潔い数字だ。4の階乗だ。」それにたいして、階乗とは何かを尋ねる家政婦に説明をします。「1から4までの自然数を全部掛け合わせると24になる。」次にこう聞きます。「君の電話番号は何番かね。」「576の1455です。」「5761455だって?すばらしいじゃないか。1億までの間に存在する素数の個数に等しいとは」いかにも感心するふうに、博士はうなずきます。こんな日々が繰り返されます。数学が苦手な人は、最初は抵抗あるかもしれませんが、読み進めるにしたがって、数の不思議さというよりも、数の美しさを次第に感じるようになります。家政婦の10歳の息子に博士は頭の形から、こんな愛称をつけます。「君はルート(√)だよ。どんな数字でも嫌がらず自分の中にかくまってやる。実に寛大な記号、ルートだ」その息子にある日博士は、こんな宿題を出します。「1から10までの数を足すと、いくらになるか。」という問題です。これを読んだときに懐かしくなりました。以前のブログに書きましたが、私が小学生の頃「数学クラブ」でいろいろな数の不思議さ、数の面白さを知りました。その授業の中でひとつのエピソードが紹介されました。これは有名な話ですが、数学者であるガウスが幼少の頃、クラスの先生が自分で何かやることがあるので、しばらく生徒に自習させようと思いました。そこで、生徒に時間がかかるようにこんな問題を出しました。「1+2+3+4+…….+100は」という問題です。もちろんすぐさま答えられないと思ってです。それは、その先生自身が1から順番に足し、3回かけてようやく答えをだせたからでした。さあ、仕事をしようとしたら、3分程でガウスは手をあげて、「5050です。」と答えます。先生は答えをどこかで盗み見たのではないかと疑い、なぜそうなったのかを尋ねてみると、「最初と最後の数を足すと101になります、次の数と最後から二番目の数を足しても101になるので、101が50組で5050です。」と答えたという話です。この話で、数の面白さにひきつけられました。そう思ってみると、数はなかなか面白いものです。たとえば、数の日の3月14日は、円周率が3.14であることから決められています。こんな遊びもあります。電卓を出して『12345679』と入力して下さい。(8を抜きます)これに自分の好きな数字×9をかけてみてください。自分の好きな数字が電卓に並びますよ。数って、美しいですね。

数の美” への6件のコメント

  1. 12345679×好きな数字×9=好きな数字が見事に電卓に並びました! 感激! まさにマジックですね!
    こんなことをモットモット早くに知っていたら、数学が好きになれたことでしょう・・・。

  2. 数の美しさは分かる気がします。数式の美しさまではまだ分かりませんが、美しさというか不思議さについては時々考えることがあります。数を興味に従って見ていくと、意外とおもしろいと感じる人も多いのではと思うこともあります。80分しか記憶ができない老数学者と実際に出会ってしまったら、その話に聞き入ってしまうかもしれません。抵抗を感じる人が多い数ですが、面白さを伝える算数も必要でしょうね。

  3. 自分の好きな数が並んだ時には「おお」と唸ってしまいました。私が好きな「3」は数とはあまり関係がなく、長嶋茂雄さんの背番号からきています。数は得意な方ではないのですが、数の美しさ、不思議さに出会うとおもしろいですし、感動してしまいます。ガウスの話も私ではきっと思い浮かばない計算式ですが、そのような計算が可能というのはおもしろいですね。新聞紙を25回折り畳んでいくと富士山と同じくらいの高さになるという話を最近、小説で知り、実際に計算してみたのを思い出しました。実際に新聞紙を25回折り畳んでみようと試みましたが、直ぐに折り畳めなくなりました。

  4. 3月14日が、ホワイトデー以外にも「数学の日」としても決められていたのですね。円周率の3,14からきているということで、財団法人日本数学検定協会も、粋なことをしますね。映画「容疑者Xの献身」に出てくる天才数学者が、ある証明問題を解いている人の答えをみて「この答えは美しくない」と言っていました。解き方にも美しさを求める数学の世界は謎が多いですが、なんだか引き込まれるような要素が感じられます。

  5. 数の美、これは神の美、ですね。数はそもそもそれ自体としては極めて抽象概念です。「3」と表して、これ自体で一体何を意味することになるのでしょうか?「1、2、3、・・・」の「3」はその前の「1、2」のおかげで具象世界に登場します。モノが3つあり、それを数字で表して「3つ」とします。「モノ3つ」によってやはり具象化します。しかし、「3」とだけあると、どうでしょう。「3とは何か」、これを解くのにおそらく相当の時間がかかるような気がしますが、もう解かれているか・・・?素数の世界で、「2」はリードオフマン、「淋しくなったら、素数の世界をちょっと離れて偶数の世界に行けば、仲間はたくさんいるからね」、これは本当に感動的です。「2」に対して、思わず、「良かったね」と声をかけたくなります。数字は本当に面白いと思います。意味付与されるとますますおもしろくなりますね。自分の好きな数字が電卓の表示面に並びます。実に美しい、と思いました。

  6. 先生は数が好きですね。その面白さに気付けずに学生生活を終えましたが、どうしてでしょう、答えに至るまでのプロセスは幾つもあるのだろうに、答えが一つしかないという点にとても難解さを感じていました。その印象と、あと、間違った時の絶望感というか、敗北感というか、どうしようもないコメントになってしまっていますが、その経験が保育現場における数の気楽さ、易しさがより面白さを増長させてくれていると思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です