ピグマリオン

 今日は、近くの医院に行きました。私は、少し血圧が高いために、定期的に計ってもらっています。最近は、肥満気味なので、高いとも言われますが、若い頃から高いので、生まれつきとか、遺伝とか言われています。でも、自分では、意外と精神的かなと思うところがあります。あるとき、血圧が高いと言われました。そうすると、その後、血圧を計るときに、「高いと、どうしよう。」と、どきどきしてしまいます。看護師さんに、「深呼吸して!」とか、「ゆったりとして!」といわれても、余計どきどきしてしまうのです。「がんばれ!」と励まされると、余計に落ち込んでしまうのと似ているのかもしれません。私は、かつて、内蔵を悪くしたことがあって、毎年、胃カメラを飲んでいたことがありました。胃カメラは、私は苦手で、どうしてもゲーゲーしてしまいます。ある年、検査に行って、控え室で喉をうがいしていました。これは、喉を麻酔して、少しでも刺激をなくそうというものです。今日は、ゲーゲーするのをよそうと、一生懸命に、丁寧にうがいをしました。しばらくして、検査室から看護師さんが、名前を呼びました。そのときに、自分で、予期しない、びっくりしてしまったことが起きました。なんと、検査室の戸をあけて、部屋の中に一歩入った瞬間にゲーゲー始めたのです。まだ、何も、検査をしているわけでもなく、喉に何も入れているわけでもないのにです。そのとき、小学校の教員時代のある出来事が思い出されました。給食のときに、ある子が目の前の野菜に手をつけていないので、私が「あれっ、野菜、食べないの?」と聞いたところ、突然、ゲーゲー始めました。私は、「先生は、無理に食べろなんて言わないのだから、わざとらしく、ゲーゲーしないでよ。」と言ったのを、思い出したのです。「あの時は、わざとではなかったのだ。私が声をかけた瞬間、喉が食べたと思って、その反応をしただけなのだ。」とわかったのです。私の検査の日も、部屋に入ったとたん、喉に胃カメラを入れられたと思って、そのときの反応をしたのです。人の体って、本当に不思議ですね。子どもが学校に行きたくないと思うと、本当に熱が出たり、おなかが痛くなることもあります。逆のこともあります。「ピグマリオン効果」といわれているものです。アメリカのローゼンタールという人の実験結果から、期待することによって、相手もその期待にこたえるようになる、という現象をいいます。ピグマリオンという名前はギリシア神話から取っています。ギリシャ神話のキプロスの王、ピグマリオンには女性忌避症があり、俗世の女性を愛することはできないと考えました。それで象牙で理想型を彫刻をつくり、それをこの上なく大切にし、彫刻が人間であってほしいという夢を見るようになりました。そして、美の女神アフロディテに彫刻像の女性を妻として迎えられるようにしてほしいと切実に祈ったところ、女性像が呼吸を始め、この女性と結婚し、娘も生まれ、彼の女性観も変わったという話です。ここから「ピグマリオン効果」という言葉が出ました。このような効果が起こる理由として、ローゼンタールは、人は常に相手の期待に対し最も敏感に反応するから、と説明しています。この実験は後に、その実験内容に不備があるという指摘がなされたため、この実験結果をそのまま信じることはできませんが、私は、子どもに対して期待をもち、その子の長所を伸ばそうという温かい態度で接していれば、子どもも自分にあった望ましい方向に伸びていく可能性はあるように思います。もう少し、子どもを信じて、待っていてあげる必要があるのかもしれません。