なりたい職業

 自分が子どものころ、何になりたいと思っていたでしょうか。それは、変わっていったでしょうか。それは、どうしてそう思ったのでしょうか。そして、今、その職業についているのでしょうか。ついていないとしたら、何がその職業に就くことを妨げたのでしょうか。あらためてそんなことを考えます。今週号の「ガテン」という雑誌の特集が、「子どものころ、どんな仕事がしたかった?」 です。
 園では、毎年3月には、卒園児たちが、将来の夢を語って、巣立っていきます。その夢に向かって、一歩ずつ歩んでいってもらいたいものです。夢は、子どもが成長するにしたがって、何度か変わることもあるでしょう。しかし、いつのときも夢は持っていてほしいと思います。大阪の幼稚園で、卒園式の後でその園の園長先生が保護者に話した内容を、ある保護者から聞きました。「夢は、大きく持たなければいけません。お花屋さんになるとか、ケーキ屋さんになるとか、そんな小さな夢では情けないと思います。もっと、医者になるとか、弁護士になるとか、政治家になるとか大きな夢を持ってもらいたいと思います。」その幼稚園は、地元では人気があるそうです。それを聞いて、私は、なんだか情けなくなります。何で、夢としてなりたい職業が、お花屋さんが小さくて、医者が大きいのでしょう。大きい、小さい、えらい、えらくない、うらやましい、つまらない、そのような職業的な区別は何でするのでしょう。自分がなりたいものであれば、それがその子にとって大きく、立派な職業なのだと思います。自分で、何になりたいのか、自分は何がしたいのかをはっきり、堂々と言える子になっていってほしいと思います。
 そういえば、昔の女の子の大きくなったら何になりたいかの夢の中に、「お嫁さん」とか、「お母さん」とか、あったような気がします。そういえば、いつの頃か、そんな夢を持つ子は聞かなくなりました。それこそ、そんなものは、夢ではないと大人が言い聞かせてきたのでしょうか。ただ、そのときでも、男の子が、「大きくなったら、お父さんになりたい!」というのは、どの時代もあまり聞きませんね。
 昨年11月下旬に、カナダの「父親の育児」支援事業を伝授するティム・パケットさんが来日しました。彼は、この事業の総括責任者として一連のキャンペーンを手がけています。その中で、世界の国々から注目を浴びているのは、カナダ保健省が2003年から進めている父親の子育て支援事業で全国放映されたテレビCMです。それは、息子や娘のために遊びやスポーツに打ち込む父と、子どもの笑顔。そこに、こんなフレーズが流れます。
「お父さん、それはこの星で一番ステキな仕事」
 カナダでも、共働き家庭が7割に上り、離婚率は4割近くになり、「父は仕事、母は家事育児」の家庭像は変貌しています。若い親に「稼ぐだけでなく、子育てに関わる新しい父親像が求められている」と説いています。彼は、問題を起こす若者に共通して「父親不在」が響いていることから、行政や研究者らを巻き込みながら民間活動を育ててきました。とはいえ、父親支援って政府の仕事なのでしょうか。彼は、こんなことを言っています。
「父親が関わると、子どもの情緒や社会性の発達にいい影響を及ぼすことは、各種調査でも明らか。父親自身も地域に心を向け、職場でも成功する傾向がある。父が子育てする意味を、社会的に知らせていく必要があるのです。」
「お父さん」「お母さん」これは、なんとステキな仕事なのでしょうか。