先導花

 今年は、各地で大雪が降り、雪の被害が多いですね。自分で、年を取ったと思う瞬間はいろいろなときにありますが、その一つに、雪が降ることが楽しかったり、うれしかったり思うことから、うんざりし始めたときに年齢を感じました。特に、あまり雪が降らない東京では、雪がふるのは楽しみでした。でも、今回のニュースを見ると、雪の多い地域では、雪は生活に密着していて、一つの自然として存在している観を強くします。ですから、「春を待ち焦がれるという」気持ちが強く沸くのでしょうね。そして、雪の多い自然の中で、春の兆候に敏感になるのでしょう。また、「春の兆し」をさまざまな動植物から感じ、その名前をつけます。有名なところで「春告げ鳥」がありますね。同じように、「春告草」と呼ばれているものがあります。それは、「梅の花」です。そのほかにもこの花は、「好文木」(こうぶんぼく)、「木の花」(このはな)、「風待草」(かぜまちぐさ)などとも呼ばれます。私の園では、毎年「年間のテーマ」があり、子どもたちにそのテーマに沿ってそれに親しんでもらったり、そのことに触れてもらおうというものです。今年のテーマは、「森の木陰でひとやすみ」ということで、「木」がテーマです。そして、年齢ごとにテーマの「木」を持っています。3歳児が「梅」4歳児が「竹」5歳児が「松」で、「松竹梅」になっています。だからと言って、もちろんお酒ではありません。松竹梅は、年の初め、正月のめでたい植物で、冬でも緑を保ち寿命も長いということで平安と長寿を表す「松」、冬でも緑を保ち雪にも折れること無いということで無事を表す「竹」、雪の中でも花をつけるということで生気と華やかさを表す「梅」という意味があります。『広辞苑』によると、「松と竹と梅。三つとも寒に堪えるので、中国では「歳寒の三友」と呼んで画の題材とされた。日本では、めでたいものとして慶事に用いる。」とあります。
先日の休みの日に、日本一の早咲きで知られる熱海梅園に行ってきました。ここに梅園が作られたのには、面白い話があります。熱海は、温泉で有名で、体の養生で訪れる人が多くいます。しかし、内務省の初代衛生局長であった長与専斎が、熱海に赴任した年に、次のように提唱しました。
「温泉がよく病気に効くのは、ただその中に含まれている塩気や鉄精にばかり頼らず、適当な運動をするからである。もし、一日中室にいて、温泉に浸かっていたら倦きもし、疲れもして、養生にならない・・・・・」(「熱海風土記」―梅園記より)
それで、運動のために作られたといいます。私も運動のために妻と訪れたのですが、ちょうど「梅祭り」は始まっていましたが、今年はどうも寒いらしく、「梅1輪」も咲いていませんでした。しかし、帰りに、その代わりにいい花を見つけました。
蝋梅2006.1.9.JPG
それは、「蝋梅」という花です。「蝋細工」のような花から「蝋梅」と呼ばれていますが、蝋月(陰暦の12月)に梅に似た花を咲かせるところからともいわれています。とてもよい香りがする黄色の花を咲かせ、南京梅あるいは唐梅とも呼ばれるようですが、梅の仲間ではありません。この花は、「春告げ」というほど春に近い時期に咲きませんが、他の花に先立って年の初めに咲くので、「先導・先見」という花言葉をもらっています。いい花と出会いました。行動を起こすと、目的は達することができなくても、思わない収穫があるものですね。