ウトナイ湖

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 今日は、千歳からの帰りに、「ウトナイ湖」に連れて行ってもらいました。ウトナイ湖で確認された野鳥は今までに260種以上いて、日本でも屈指の渡り鳥の中継地です。このあたりは、沼地や湿地や原野が広がり、このウトナイ湖も、ウトナイ沼とも呼ばれているようです。ですから、決して深くはなく、平均水深0.6mの淡水湖です。そのために、ここは、動植物の宝庫、野鳥の楽園ともいわれているのです。特にガン、カモ類やハクチョウなどの渡り鳥にとっては重要な中継地であり、マガンやハクチョウの集団渡来地として国際的に知られています。そこで、「ウトナイ湖」は、2005年、ラムサール条約事務局に登録されています。最近では、知床が世界遺産に登録され、話題になりましたが、この条約もとても重要なものです。
 この条約は、湿地や湖、沼、川、干潟など水のある土地(ウエットランド)に生息・生育する多くの動植物、特に国境を越えて移動する水鳥を中心に、世界各国が保護・保全することを目指しています。ですから、この条約の正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」ということで採択されました。そして、1971年、この条約を締結した時の開催地が、イランのラムサールだったので、この名前にちなみ「ラムサール条約」と一般に呼ばれています。日本は1980年に加入。このとき、釧路湿原を最初の指定湿地候補にあげたのです。
 湿原、沼沢地、干潟等の湿地は、多様な生物を育み、特に水鳥の生息地として非常に重要です。しかし、湿地は干拓や埋め立て等の開発の対象になりやすく、その破壊をくい止める必要性が認識されるようになりました。しかも、湿地には国境をまたぐものもあり、また、水鳥の多くは国境に関係なく渡りをすることから、国際的な取組が求められます。そこで、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動植物の保全を促し、湿地の賢明な利用(Wise Use)を進めることを目的として条約が作られたのです。1980年に条約加入の際に「釧路湿原」を登録して以降、「伊豆沼・内沼」「クッチャロ湖」「ウトナイ湖」が追加登録されました。今回訪れた「ウトナイ湖」は日本では、4番目に登録されたことになります。今は、日本では、30箇所が登録されています。
 ウトナイ湖にたくさん飛来しているコハクチョウは、夏にシベリアで繁殖し、冬には、南下して日本に渡ってきます。日本での中継地としては、北海道のクッチャロ湖、ウトナイ湖などがありますが、その後、その大半が、南下し、伊豆沼・内沼(宮城県)、猪苗代湖、佐潟をはじめとした新潟平野の湖沼などに渡ってきて、そこで越冬します。また、一部はさらに南下し、中海(島根県)で越冬するものもいます。これら中継地や越冬地の湿地が失われてしまうと、ハクチョウたちは、渡りのルートを変更しなければなりません。極端な場合には、ルートそのものが成り立たなくなってしまいます。このように、湿地は、渡りを行う水鳥たちにとってかけがえのないものです。人類は古来、干潟などの湿地とそこに生息する様々な生き物の恵みを受けてきました。それを破壊し、自然の営みを狂わせてきた人間として、次の世代に、それを取り戻す努力をしなければいけないのも人間だと思います。