ロゼット

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「タンポポ」と「よもぎ」のロゼット
 今、街の中をウォーキングしていると、山茶花の花が盛りですが、ほかの季節に比べて、色とりどりの花が少ないので、少しさびしい気がします。しかし、冬は、違う楽しみがあります。それは、次に来る春を待つ姿が、木々や草花に見ることができるからです。華やかに、今を盛りに咲いている姿よりも、もしかしたら、「忍耐」「希望」「未来」そんなものを感じることができるのは、冬の木々や草かもしれません。
 たとえば、道端で花の中でも美しいといわれている「バラ」(ローズ)の小さいのを見ることができます。小さいバラという意味の「ロゼット」(rosette)です。これは、非常に短い茎から葉(根出葉)が重なり合って地面に放射状に広がり、バラの花の形のようになっているものをいいます。多年草・越年草の冬越しの状態で、タンポポ・ヒメジョオン・ナズナなどの葉にみられます。ロゼットは、冬の間しっかりと根を張り、春にはいち早く花を咲かせる、そんな地道で実のある活動を目指しています。
 冬は、一年で一番寒い季節です。それぞれの生き物は、いろいろな方法で冬を乗り越えます。人間など哺乳類や鳥類は、気温や水温など周囲の温度に左右されることなく、自らの体温を一定に保つことができる恒温動物(かつては、定温動物、温血動物とも言われた)です。これらは、体内で熱を作り出し、または体内の熱を外に逃がす機能を持っています。反面、変温動物といわれる動物など、自分で体温を調節できない生き物たちは、活動をやめてじっと春の来るのを待っています。それが、冬眠です。また、卵や幼虫で冬をすごすものもいます。植物も、木々は葉を落とし、冬芽の状態で春を待つものがあります。草花には種子や球根で冬を越すものもあります。そんな中で、冬も枯れずに葉をつけたまま冬を越す道ばたの野草(多年生の植物)があります。その姿が「ロゼット」です。「ロゼット」は植物が寒さに耐えて冬を越すのに都合のよい形なのです。まず、茎を伸ばさず、地面にはりつくことで冷たい風から身を守ります。また、地面に近いところは、暖められた地面からの熱で温かくなっています。さらに葉を広げて太陽の光をたくさんあびることにより、体温も上がり、光合成をさかんにして地下の根に栄養分をためることができます。また、草丈が高くなる植物は刈り取られたり草食獣に食べられる危険性が高いのですが、地面にへばりついている植物は刈り取られても被害は少ないでしょう。そして、冬を種子や球根で越す植物は全部枯れてしまっていて、光をさえぎるものがありません。そして春になると、他の植物よりいち早く長い茎を伸ばして花をつけ種子を散布します。つまり地面を最大に利用している植物と言えます。ロゼットを作る野草には、ナズナやタンポポの他、ゴギョウ・ホトケノザなど春の七草は、ロゼットで冬を越します。
 人間は、自分自身で体温を調節できる生き物のはずです。しかし、どうも最近は、その機能を失いつつある気がします。体温を上げるために、毛を立てる。(身体の回りに空気の層を作り、伝熱を抑える。)身震いをする。(筋肉の摩擦熱による)脂肪の燃焼をする。血管を収縮させる。(重要な臓器に血液を集中し、保温する効果がある。)など体の機能のほかにも、行動として体温を上げるために、日光に当たる、身体を縮める、丸める(表面積を減らし放熱を抑える)、運動するなどがあったはずですが。 最近は、「暖房の部屋にいる」ですね。これで、生き抜いていけるのでしょうか。