あぶりだし

 学校は、今、冬休みです。今では、寒くていやだと思いますが、子どものころは楽しいことがいっぱいあった冬休みでした。クリスマスから、年末のあわただしさ、お正月のゆったりした日々、ずいぶんとメリハリのある休みです。子どもの遊びも、たこあげ、はねつき、かるた、すごろく、とても豊富でした。その遊びのなかで、最近あまり見かけなくなったものに「あぶりだし」があります。これは、冬のアイテム「みかん」と「火鉢」が必要だったために、冬の遊びの代表格です。「あぶりだし」は、知っている人も多いでしょうが、白い紙に、みかん汁やレモン汁などで、絵や文字を描きます。そして、液が乾けば、何が描かれているかは本人にしか分かりません。しかし、液の乾いた紙をストーブやコンロ、火鉢などであぶると、紙の上に茶色の文字が浮かび上がってくる遊びです。酢、レモン汁、あるいは玉ねぎの汁は、紙に化学変化をおこし、発火温度が紙より低い物質に変えてしまいます。ですから、その汁で書いた紙をろうそくなどであぶると、変化した物質が紙より先にこげて、茶色の文字があらわれます。子どものころは、「秘密の暗号」として友達に渡したりして楽しみました。レモンやみかんや酢やたまねぎの汁のほかに、みょうばん水、トマト、オレンジジュース、りんごジュース、牛乳、さとう水などでやっても、いろんな色がでます。そして、今は、火鉢であぶらないで、あたためておいたオーブントースターに入れて、10秒たてば、絵がうき出てきます。
 紙で遊ぶというと、最近はいろいろとありますね。昨日、園で、見学者に対して、子どもたちがこんなことを言っていました。「ねえ、ねえ、この絵本見て!ここをこするとにおいがするんだよ。」とカレーの絵を指していました。これは、紙というより、インクの上に匂いの粒がついていて、こすると、カレーのにおいがするようになっているのです。カレーのほかに、イチゴのにおいや、チョコレートのにおいのするインクもあります。また、絵本に、手で触ると絵が浮き出てくるものもありました。手の体温に反応するのです。しかし、この企画は失敗したそうです。沖縄では、触らなくても絵が浮き出てしまったそうですし、北海道では、触っても絵が浮きでなくて、苦情が殺到したそうです。
 今日、電車に乗ったとき、知床の案内の中吊り広告にこう書いてありました。「この紙は、マイナスイオンを出しています。」その車両全部がその広告だったので、さぞかし、その車内は、マイナスイオンで満たされていたでしょう。
園では、今年の運動会のプログラムは、今年のテーマ「木かげでひとやすみ」にちなんで、年輪をかたどったものでした。その一番上の年輪を、ヒノキで作った紙にして、木のにおいを嗅いでもらえるようにしました。
 紙の原料は、パルプで、勿論、木材から作られることが多いのですが、最近は、ケナフやバガスといった非木材繊維と呼ばれるものもパルプ化され、原料となっています。とくに、ケナフは熱帯性の一年草で,二酸化炭素を効率よく吸収し,早く生育する植物で、栽培が比較的容易であることから、その栽培が、学校で環境教育としてされることが多いようです。
 紙は、いろいろと変わってきても、子どもの伝承遊びは、ぜひ、伝えていかなければなりませんね。

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