あるところで、新しい試みの話をした後、アンケートで「その試みを実行しようとするときの障害は、何ですか?」と聞いたところ、保育者の回答のほとんどは、「園長」と答えていました。逆に園長に尋ねた回答のほとんどは、「保育者」でした。お互いが、お互いを壁と感じているようです。
今日の来客は、とても珍しいパターンです。今まで、数日間にわたって園の職員を全員交替で実習によこし、最後にそこの主任が来て話をし、そして、今日、そこの園長が来ました。園職員全員で来ることはあっても、それぞれ別々の日に園長、主任を含めて全員が来るというのは珍しいです。別な日なので、それぞれの本音が聞けるからです。そして、園に戻って、みんなで話し合えるからとてもいいと思います。(特に、園長と職員)
園というのは、企業ではありませんが、企業の「労使関係」という考え方が、職員との関係で参考になることがあります。保育園、幼稚園では、企業でいうと、中小企業です。中小企業の場合は、とくに労使の間の個人的なつながりが密接で、従業員と使用者との人間関係が、その企業の労使関係に及ぼす影響が強くなっています。経営者の従業員に対する人間的理解の欠如が原因となって、労使関係が悪化した多くの例があります。人間関係に十分な心づかいをして、従業員との信頼関係を築き上げていくことが、労使関係をよくするためにはとても必要なことだといわれています。私は、そのほうの専門家ではないので、詳しくはわかりませんが、一般に大きくアメリカ型とドイツ型に分けられるようですが、どうも最近は、労使関係でも「ドイツ型」が提案されているようです。アメリカ型は、会社の主催者の意向は経営に強く反映します。しかし、企業に対する一体感は薄く、企業内部での一体感もあまりありません。一方、ドイツ型は産業民主制の立場から、労使の関係は対等であり、経営に対する責任分担は両者共同で行われます。このため、企業内での一体感は高まりますが、意思決定が対立した場合は調整が難しくなります。ドイツでは、協調的問題解決型、すなわち協約自主性というようです。参考に、トヨタの労使関係を見てみました。トヨタの人事労務は「労使相互信頼」を基本理念としています。労使相互信頼は、「従業員の生活向上は会社の繁栄があって初めて実現するものであり、労使が会社の繁栄を共通の目的として価値観を共有する」が基本精神のひとつにあります。そして、その基盤として「相互信頼」に「相互責任」が加わっています。
園に見学にきた保育士さんから、こんな感想のメールをいただきました。
「お話を聞かせていただき、私が特に印象深く残ったのは、園長先生が現場の職員の先生方を信頼し感謝をしていて、その園長先生の姿勢にしっかりと受け答え、実践していらっしゃる現場の先生方とのチームワークです。つまり「輪」ですよね。「輪」は「和」にもなります。きっと、通園している子どもたちは、いちばん身近なところにいる大人が安定して穏やかであれば、自然と心が和むことでしょう。そして、子供の様子を見れば、その子どもたちの保護者の方々も、我が子をしっかりと受け止めて下さっていると確信して先生に協力したいという感情が湧いてくるのでしょうね。『子どもが外の社会で最初に生活をする場の大人が信頼できる人間であること』とても大切だと思います。」