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2005年11月22日 来客

公私の幼保

 今日の来客は、社会福祉法人立保育園、学校法人立幼稚園、東京都昭島市立保育園、長野県伊那市立保育園の園長、保育者でした。いわゆる、幼稚園と保育園、私立と公立です。しかし、どこも乳幼児期の子どもを預かっている施設です。ドイツで、キンダーガーデンといわれている施設を、幼稚園(ようちえん)と訳します。(独・英:kindergarten)そして、その施設とは、「3歳から小学校就学までの幼児を保育し、年齢に相応しい適切な環境を整え、心身の発達を助長するための教育施設のことである。」と辞書に書かれています。いわゆる、日本でいう幼稚園の内容です。しかし、ドイツに行って気がつくのは、では、保育園はなんていうのかというと、日本の3歳以上児の保育園に相当する施設が見当たりません。というのは、ドイツでの保育園は、すべて3歳未満児を預かる施設だからです。逆を言えば、3歳以上児を預かる施設は、すべてキンダーガーデンというからで、そこにいる園児は、お昼で帰る子、3時に帰る子、5時に帰る子と様々です。ですから、キンダーガーデンの親は、専業主婦の場合であろうが、勤めていようが関係ありません。親がどのような生活形態を取ろうが、子どもに対する幼児教育は変わらないのです。第55回日本保育学会で、パメラ・オーバーヒューマー所長(ドイツ・バイエルン州立幼児教育研究所)が、「1997年EU各国の国際調査をもとに、それぞれの特徴の解説」をしました。そこで、「スペインやフィンランドは、6,7歳までを対象にした幼児教育保育所で、教育と養護(ケア)といった区分や年齢による区分がなく、統合された調和のある保育を目指している。スペインは、教育省、フィンランドは社会省の所管に一元化され、いずれも義務教育部門とは別になっている。ベルギーやルクセンブルグは、就学前教育専門家として位置付けられ、行政レベルが作成したカリキュラムに基づいて教育が行われている。そして、教育と養護(ケア)が分かれている。フランスやオランダは、教育と養護(ケア)が区分されている。デンマークやドイツは、幼児教育保育者のほかに、社会的保育者(ソーシャル・ベタゴーグ)がいて、学校外の保育システムがつくられている。」という講演を行いました。どの国でも、所轄官庁は、年齢で分かれているか、一元化されていて、それらの国と比較して、同じ年齢の子(3~6歳児)を違う省庁(文科省と厚労省)の管轄で行う国は、日本しかないそうです。日本は、何で、親の利用の仕方、保護者のライフスタイル、運営母体の違いで、子どもの処遇がちがっているのでしょう。国主導の「総合施設」のようなものではなく、現場から、幼保と、また、公私とそれらの区別なく、同じ子どものための保育、幼児教育の質を考えなければならない時代が来たのかもしれません。そんな思いを強くした、今日の来客でした。

投稿者 fujimori : 2005年11月22日 21:50

コメント

先日、自治体招集の会議がありました。「保育所等のあり方懇話会」という会議で、有識者・幼稚園保育園の代表が集まり、総合施設のモデル園を見学、総合施設・公立保育園の民営化・保育行政のあり方について議論しました。どの施設も「子どものために」という思いは同じであるのに関わらず、いままで、幼稚園の子どもと保育園の子どもを分けていたことに疑問を抱き、今後も、就学前の子どもにとって、本当に大切なものは何かを議論する場を設けましょう、と提案してきました。総合施設問題は、それを考える、いいきっかけになったように思います。

投稿者 komakinomori : 2005年11月23日 10:09

●先日、広島・西条に来られたとき講演を聴きました。最近、臥竜塾を時々読ませて頂いています。文章の内容と毎日執筆!に圧倒されます●さて、私立幼稚園の園長ですが、日本の今後の幼児施設の形態について関心を抱いています。丁度、きょうの内容が外国の施設についてでした。その中で、、「スペインやフィンランドは、6,7歳までを対象にした幼児教育保育所で、教育と養護(ケア)といった区分や年齢による区分がなく、統合された調和のある保育を目指している。(略)ベルギーやルクセンブルグは、(略)教育と養護(ケア)が分かれている。フランスやオランダは、教育と養護(ケア)が区分されている。(後略)」と書かれていました。「教育と養護の区分け」というのがどういう内容なのか、具体的によく分かりません。お忙しいところ申し訳ございませんが、教えていただけますか? (緑ヶ丘幼稚園 花岡 薫)

投稿者 花岡 薫 : 2005年11月23日 23:31

花岡さん、書き込みありがとうございます。質問の内容は、パメラさんの講演の内容を訳した資料からの抜粋なので、養護の意味は、単にケアということの意味で、「世話」とか「保護」という意味でしょう。私の見解としては、このように理解しています。「養護」というのは、子どもが、安定して園生活を送れるようにするために必要な基礎的な事項です。つまり、「生命の保持および情緒の安定にかかわる事項」のことです。ですから、これは保育指針には、全年齢についてかかれてあります。そして、満3歳以上は、これを「基礎的事項」としてまとめて書いてあります。しかも、この養護の内容は、必ず保育士がしなければならない内容なので「~するようにする」のように、保育士側から書いてあります。一方、「教育」のほうは、子どもを主語に、子どもの心情や意欲や態度を表現してあるので「~楽しむ」とか「しようとする」とか「話す」などとかかれています。3歳未満の養護の内容であっても、一文のなかに
子どもの心情や意欲や態度の記述が見られるものがあるから、教育部分が入っています。たとえば、「楽しい雰囲気の中で、喜んで食事ができるようにし、嘱託医などと相談して離乳を進めながら、次第に幼児食に移行させる」というのは、6ヵ月から15ヵ月のところの「内容」(5)ですが、これは、明らかに、主語は保育士であり、生命の保持にかかわる基本的事項にほかならず養護としての保育内容です。しかし、保育所保育指針を作っている方々は、養護の内容を、基礎的事項として別枠に取り出すことをしませんでした。満3歳以上からしか基礎的事項を別枠でまとめることはしていません。なぜなら、小さい子ども達への教育というのは、この例が示しているように食事を子ども達が楽しんでいるか、喜んで食事をしているか、という子どもを主語に置き換えて読んでほしい教育内容が含まれているからです。ですから、ただ、離乳の完了期である15ヵ月ごろに向けて、栄養のことだけを考えて離乳して幼児食へ移行させればいいというのでは決してなく、そうではなくて、みんなで楽しく、喜んで食事をしているか、それが出来ているかという保育内容も「教育」の「健康」の領域なのです。そのように養護を捉えると、学校教育の問題も、教育に養護面が入っていないことがあると思います。

投稿者 Fujimori : 2005年11月24日 00:00

●藤森先生、ご返事ありがとうございました●内容について、先生が説明されたような読み方を、今までしていなかったので、新しい一つの視点をもつことが出来ました●また、先生が「国主導の「総合施設」のようなものではなく、現場から、幼保と、また、公私とそれらの区別なく、同じ子どものための保育、幼児教育の質を考えなければならない時代が来たのかもしれません。」と言われているのは、正鵠を得た問題提起だと思います●まさに「保育、幼児教育の質」を現場からどのように
変えられるか、が日本の将来に影響をあたえるのではないでしょうか。お忙しいところありがとうございました。(花岡 薫)

投稿者 花岡 薫 : 2005年11月25日 00:03

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