園庭のキンモクセイの花
つい、この間まで、キンモクセイのいい香りがしていました。園の駐車場に植えてあります。この香りは、とてもいいということで、トイレの芳香剤に使われてしまったせいで、なんとなくトイレのにおいと思われがちで、なんだかかわいそうです。好きな香りが、すぐトイレに使われてしまい、残念です。(最近、ラ・フランスのにおいというものが出ました。)また、名前の由来も面白く、金木犀(きんもくせい)という字の「犀」は、動物のサイですね。淡灰色の幹の紋斑が動物の犀(サイ)の皮に似ているかららしいです。何で、強烈な印象の花のイメージから名前をつけずに、樹皮のイメージからつけたのでしょうね。もう一つ、この花について有名なことに、日本の金木犀が雄木ばかりという話があります。確かに、実を見たことがありません。キンモクセイは、イチョウと同じく、雌雄異株で、渡来したのは7~9世紀の間に、遣唐使が桂林あたりから種をもち帰って植えたと伝えられていますが、雄の木しか日本に渡ってこなかったそうです。そして、中国では、あの強く甘い香りから、「月には木犀の大木が茂っている」という伝説があるそうです。その香りを嗅ぐたびに、そのことを思い浮かべます。
この香りをかいでいて、思い出したことがありました。私が、小学校で1年生を担任していたときのことです。私は、1学期の間は、子どもたちになるべく、文字を使わせませんでした。たとえば、毎週、各地の民話を話していたのですが、読み終わってからの「感想文」は、絵で描かせていました。「感想絵」です。思ったこと、班新聞もできる限り、絵での表現をさせました。子どもたちは、その不便さから、文字を使いたがりました。そして、2学期、今度は、文字を使うことを解禁したのです。逆に、今度は、いろいろなものを、文字で表現させました。あるとき、教室の真ん中に、花を入れた花瓶を置いて、子どもたちに画板を持たせて、その周りを囲みました。「さあ、みんなで、この花を写生しよう!」といって、画用紙ではなく、原稿用紙を配って、「ただし、絵で写生ではなく、文字で写生をしよう。」と言ったのです。そして、またある朝、登校してきたら、校門のところのキンモクセイがとてもいい香りだったので、子どもたちをそこに連れて行って、「今日は、このにおいを文字で写生しよう!」と言ったのです。
文字は、使いこなせると、とても便利です。姿も、においも表現することができます。しかし、本当にこちらが伝えたいことが伝わるかというと、逆に、文字はとても怖いものがあります。このブログにして、写真が1枚あるだけで、伝えたいイメージはすぐに伝わることがあります。しかし、一番伝えたい「思い」は、なかなか伝わりません。このブログを続けるのも、ある時の文字だけでなく、ある時の場面だけでなく、その奥にある「思い」を伝えたいためなのです。