オルタナティブ保育

 今日から三日間、今年2回目の「第九回保育環境セミナー」が開催されています。毎回定員100名を超える参加者が全国から集まります。そのテーマは、新しい時代の保育を考えていこうとするものです。
 家の冷蔵庫の扉には、妻がいろいろなものを貼ります。その中の1枚の紙切れには、これからの時代のキーワードとなるべき言葉が書かれています。その中のひとつに、最近出会うことが多くなりました。また、私の話の中にも使うことが多くなり始めている言葉があります。それは、オルタナティブ「alternative」という言葉です。(オルターナティブともいうこともあります。)意味は、
(1)二者択一。代替物。代案。
(2)既存のものと取ってかわる新しいもの。
(3)1990 年代のカウンター-カルチャー,音楽スタイルのこと。オルト-カルチャーとも。
(三省堂提供「デイリー 新語辞典」より)

ですが、オルタナティブ教育というように使われることがあります。それは、二番目の意味の、既成のものと取って代わる教育という意味で使われます。ただ、既成のものは何かということで、イメージするものがかなり違うようです。日本では、オルタナティブ-スクールというと、新語事典には、フリースクールのことを言うと書いてあります。フリースクールとは、授業への出席を強制しない,校則を全校集会で決めるなど,子どもの自由や自主性,個人差などを配慮した、児童中心主義の教育を行う学校形態の総称をいいます。それは、今の既成の学校は、授業への出席を強制する。校則を、教師か一部の生徒で決める。子どもの自由や自主性は認められず、個人差は配慮されず、教師中心主義の教育を行っているので、それに取って代わる教育ということです。「オランダの教育」(平凡社)の著作者である「リヒテルズ直子」氏は、既成の教育といわれるのは、長い間習慣とされてきた、同じ年齢の子どもをひとつの教室に集め、先生が教壇に立って、主に一方通行で知識を伝達し、子どもはそれを受身に習う、という形式の教育と考えて良いと思っています。この意味で、欧米では、新しいオルタナティブ教育が行われてきているようです。
では、私たちの保育はどうでしょうか。何が、既成のものとして思われているでしょうか。私は、まったくリヒテル直子さんが言っているように、「同じ年齢の子どもを、ひとつの保育室に集め、保育者が前に立って、主に一方的に知識や活動内容を伝達し、子どもはそれを受身に、言われたとおりに活動するという形態をとっている。」という保育が、既成のものとして行われている気がします。今の時代にあった、それに取って代わる保育を考えないといけないと思います。

オルタナティブ保育” への7件のコメント

  1. 既成のものをしっかりと把握し、分析することによってオルタナティブという考え方が生まれますね。既成のものを分析するということは大切なことだと思います。ただ、新しいことをやりたい、変わったことをやりたいではなく、ここが問題点で、こうした方がいいから、このようにしていきたいというプロセスがあって始めて説得力のあるものが生まれていくように思います。そう思うと自分自身の行動の仕方も意識しないといけないなと思うのであります。この時期は第9回目の保育環境セミナーだったのですね。私もまたセミナーに参加して、いろいろと学んでいきたいです。

  2. 取って代わるもの、オルタナティブが作られていくのはいいですが、それが少数でとどまってしまっては意味がありません。いま取り組んでいる保育がいまの時代になぜ必要なのか、そしてどんな力がつくのかをしっかりアピールし、広がっていくことをサポートできるようにならなければと思っています。

  3. 藤森先生の、様々な情報から物事の真理を導き出すカリスマ感は、いつも圧倒されています。一方で、このブログに、藤森先生の奥様の言葉がたまに載せられていますが、奥様の時代をまっすぐ見る視点や、本質を見通す感じが、藤森先生とリンクして、より強力な発信源となるパワーが高まっているようにも感じました。そのような関係を、とても羨ましく思います。
    私も、現在の自分に満足することのない、自分のオルタナティブを求め続けていきたいですね。

  4. 20代の頃、千葉県に伝わる伝統的井戸掘り技術上総掘りをフィリピンミンダナオ島に紹介して不毛な土地を田園にして農民の暮らしむきの向上に貢献しようという活動に関わったことがあります。そしてその時の井戸掘り技術を「オールタナティブテクノロジー」と称していました。そしてその日本語を「適正技術」としました。すなわちalternativeに「適正」という日本語を当てはめたのです。正確に言えば、時代や地域の状況にとって「適正」のある、というちょっと長めの解釈がその背景にはありました。その意味で、藤森先生ご提案の alternative ECEC は「適正保育」ですね。ところで、今年9月で33回セミナー、です。この時は9回目。毎回100人以上の参加者を得ながら、実によく続いているものです。感心します。

  5. 8年もの時を経ても尚変わらずにこの教育の形態をとっている保育園、幼稚園、学校がどれだけ多いことかととても憤りに似た感情が湧いてきます。保育業界を根本的に動かすことの難しさを感じると同時に、自分の決めた道の正しさ、言い方としては稚拙ですが、やりがいを超えた気持ちを確かに感じています。変えていきたい一心です。見守る保育がどれだけ楽しく、子どもと毎日を過ごすことができるか。一度体験したらもう既成の保育には戻ることができません。つまらないし、疲れるし、意味がないことはやめるべきです。

    一日一日と見守る保育が浸透していくことを信じながら、目の前の子ども達を明日も明後日もこれかもずっと温かく見守っていきたいと改めて強く思いました。

  6. オルタナティブという言葉を初めて聞きました。既成のものととって変わる新しいもの。今までの教育の形態を見るとまさに既成のものですね。保育園や幼稚園、小学校など、このものが多く感じます。教育について日本は先進国でありながら、他国との差がありますね。今という時代の流れを見通しを持って見つめなければ、問題は何なのかと把握することができません。今必要なのは、見守る保育という形であると強く確信しています。日本すべてが見守る保育になったら…と大きな夢も見ながら、現状を変えるにはどうしたら良いのか、今は外に発信する形で伝えていきたいです。

  7. 「今の時代にあった、それに取って代わる保育を考えないといけないと思います。」この言葉は本当にその通りですね。いつまでも「子どもは自分では何もできなく、大人がサポートしなくてはいけない」といった考え方、「じっとできているのが情緒の安定」といった間違った考え方を時代とともに考え直していかなければなりません。藤森先生の考え方は常に先を見据えながら、時代とともに変えてはならない事と、変えなくてはならないことがはっきりし、わかりやすく教えて頂いているため常に前を見ることができていると思います。

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